これからの老年医学

これからの老年医学

高齢化社会の進行とともに、老年病が増加しています。中でも代表的なものが、いわゆる老人性骨粗鬆症は、骨の密度が減少して、骨がスカスカの状態になってしまい、そのために骨がかんたんにつぶれてしまったり、折れてしまう病気です。原因としては遺伝、人種差、性別、閉経、栄養不足、運動不足、喫煙、飲酒、薬剤などさまざまな要因が複雑にからみあって、骨からカルシウムが流れ出してしまうことが考えられます。この老人性骨粗鬆症は、いわゆる「寝たきり老人」をつくる原因ともいわれており、その対策が急務となっています。

血中カルシウムと老年者の健康

遺伝、人種差、性別、閉経、栄養不足、運動不足、喫煙、飲酒、薬剤などさまざまな要因がからみあって血中のカルシウムが減ると、これを補正するために、カルシウムが豊富にある骨からカルシウムを取り出し、血中カルシウムを一定に保とうとする調整機構が、人体には備わっています。骨からカルシウムが流れ出てしまうのはこのためです。つまり、骨代謝を犠牲にしてまで維持しなくてはならない血中カルシウムは、人間にとってたいへん大切で、血中カルシウム濃度を一定に保つことは細胞機能の維持や生体機能の調節にとってたいへん重要なことなのです。血中カルシウムは、老年病の転機に大きな影響を与えます。神戸大学の藤田拓男教授の研究は、次のような成績で、カルシウムとビタミンDの必要性を示唆しています。藤田教授は、65歳以上の老人のみを入院させている老人専門病院において、3年間にわたって軽快退院した158名の患者と、死亡退院した432名の患者について、以下の検査値の違いを、いくつかの統計学的方法で検討しました。

①年齢

②入院期間

③血中カルシウム

④血中ナトリウム(体液の状態をみる検査)

⑤血中クレアチニンと血中尿酸(腎臓の機能をみる検査)

⑥血中総たんぱくおよび血中アルブミンと血中コレステロール(栄養状態をみる検査)

⑦血中GOTとGPT(肝臓の機能をみる検査)

なお、この研究では家庭の事情による退院や手術その他の理由による退院、さらに退院しても症状や所見が不変なもの、悪化したものなどは除外されています。この研究成績は、別表(下記)のとおりでした。

検査項目 軽快グループ(158人) 死亡グループ(432人) 統計処理 有意な違い
カルシウム(mg/dl) 9.2 8.9 あり
尿酸(mg/dl) 4.7 5.2 あり
クレアチニン(mg/dl) 1.0 1.2 あり
総たんぱく(g/dl) 6.5 6.3 あり
アルブミン(g/dl) 3.4 3.1 あり
GOT(U/L) 29.0 34.0 なし
GPT(U/L) 18.0 20.0 なし
コレステロール(mg/dl) 189.0 180.0 あり
ナトリウム(mEq/L) 140.0 138.0 あり

以下、かんたんに解説します。

1.軽快退院した患者グループでは、血中カルシウムおよびナトリウム、総たんぱく、アルブミンが高いことが明らかな特色でした。また、クレアチニンが低いことも、これに次ぐ特色でした。これらのことから、ビタミンDおよびカルシウムの十分な摂取による血中カルシウムの維持、たんぱくの摂取を十分に保つことによる総たんぱく・アルブミンの維持が行われている者が軽快したグループに多く、逆に、これらの値の維持されていない者が死亡したグループに多いことがわかります。これらの検査所見は、一般に栄養状態を示すものです。つまり、栄養状態がすぐれている者ほど軽快の傾向が強いという常識的な結果に落ち着いたわけですが、このことは、実は、老年者における栄養摂取の重要性を強調するものといえます。

2.クレアチニンの上昇の背景にあると思われる腎機能の低下を示す者は、死亡したグループに多いようです。尿酸はクレアチニンと同様、腎機能を反映し、コレステロールは総たんぱく・アルブミンと同様、栄養状態を示すと考えられます。軽快したグループのほうが、コレステロールが高くかつ尿酸は低く、栄養状態がよくて腎機能がよいことを示しています。

3.血中カルシウムが高いほど軽快への傾向が強く、血中クレアチニンが高いほど死亡への傾向が強いという、上記1、2と全く同一の傾向が示されたことは、興味深い結果です。

4.血中カルシウムとナトリウムの上昇は、軽快への傾向を示し、逆に入院時の高齢の者、入院期間が長い者、血中クレアチニンの高い者は、死亡の危険が大きいことを示しています。

以上の成績は、種々の統計学的検討から血中カルシウムが老年期の転機にきわめて重要な意味をもっていることを示しています。また、軽快したグループと死亡したグループでは、検査値のわずかな違いが生死の分かれ目になると考えると、感慨深いものがあります。生体にとって重要な血中カルシウムの維持には、食事、運動など環境への配慮と同時に、その吸収に必要なビタミンDを生成する光線照射も重要な意義をもっていると考えられます。特に老年者では、その意義は大きいと思われます。

健康維持の光線療法

健康維持のための光線治療は、治療用カーボン3000ー5000番、または5002ー5002番、4000ー5002番を用い、両足裏部⑦、両膝部②各5分間(以上集光器使用せず)の照射をするのが一般的ですが、老年者の場合はなんらかのからだの異常があることが多いので、それぞれの異常に合わせて光線治療を行います。なお、時間が許せば、⑦、②だけでなく、両足首部①、腓腹筋部、後大腿部、腰部⑥、腹部⑤の照射も行います。

老年者のクオリティ・オブ・ライフの向上

これからの老年医学では、老年者の場合、病気が起こっても、症状が現れたときは、ある程度まで病気が進行していることから、この症状が現れてくる時期を、どう遅らせるかが今後の課題になっています。例として痴呆は、80歳になると20%、90歳では50%にみられますが、このように年をとることによって起こる病気においては、症状の出現を遅らせることが一つの予防法となります。脳の退行性変化を強くもっている人では、わずかなからだの病気でもなくなってしまう場合があるといわれています。入院患者を調査すると、その40%は肥満、喫煙、飲酒などによるもので、決して年をとったことが原因ではなく、ライフスタイル(生活習慣)によっておこる「ライフスタイル(生活習慣)病」ともいうべきものです。「年のせい」とされる変化の多くは、実は日常のライフスタイルによって起こることが多く、これらは予防することが可能です。人は、環境の変化や配偶者を失うなどのいろいろな出来事によって、免疫機能さえも変化することがわかってきており、「精神神経免疫学」という新しい学問も生まれています。

人の身体機能は、安静状態ではかえって悪くなります。からだは使いすぎて擦り切れるものではありませんので、適度に動かすことや運動することが大切です。この常識的なことが、実社会ではどうやら忘れ去られているようです。人は、いろいろな出来事によって自律神経だけでなく、内分泌や免疫学的にもいろいろな影響を受けます。これまでの医学は、患者に対して臓器単位で治療するのがもっぱらでしたが、これからは社会生物学的な観点から患者のqualityoflifeの向上、つまり、いかによい人生を送ってもらうかを考えることが必要不可欠です。近年の老年医学は、以上のような観点から方向転換を迫られています。老年医学は、本質的には予防医学ですが、可視総合光線療法ではこれを長年にわたり実践してきており、実際に光線治療を行っている人にはよく理解できることだと思います。

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