五臓の変調③脾の変調

痰は、脾の運化機能の失調で生じ、肺にたまるので、呼吸器系の症状としてでます。それで「脾は生痰の源、肺は貯痰の器」といいます。

消化・吸収・運送ともちあげる機能が失調する

脾は運化、昇清、統血という機能をもっているとされています。

運化とは、消化・吸収・全身への輸送機能のことです。脾が変調すると、運化機能が悪くなるとされます。消化と吸収に異常がおき、食欲不振、腹が張った感じ、腹痛、下痢がおこります。その結果、食べる量が減ったり、消化・吸収がうまくできないために、栄養分が足りなくなります。すると、気・血・津液・精を十分につくることができなくなって、からだのさまざまな部位に不調がでてしまいます。

運化機能の低下は、津液の循環にも影響するといわれます。津液は、からだをうるおす大事な水分です。しかし体内を循環できずに、一カ所で停滞していると、湿とよばれる不要な水分となってしまいます。湿が集まると、もっと粘り気が強い痰になります。痰は肺へ移動するので、気道にからみやすくなり、せきやぜんそくといった、呼吸器の異常がおこります。

昇清は、持ち上げる機能のことです。昇清機能のおかげで、内臓が持ちあげられて安定していると考えられます。脾の変調で昇清の機能がうまくはたらかないと、内臓が落ちてきて、胃下垂、脱肛や慢性の下痢などがおこりやすくなります。食後に強い眠気におそわれる人は、脾が弱かったり、調子が悪い場合が多いです。脾が、消化・吸収を進めることで精一杯になり、気や栄養分を十分に脳に送れないため、うとうとと眠くなると考えられます。

統血機能が低下し、よだれの量も変化する

統血とは、血が血脈から漏れないようにする機能です。この機能が低下すると、血が漏れるようになり、血便、血尿、不正性器出血などがおきるとされます。統血機能の低下とは、血脈が破れているのではなく、血がしみでている状態です。

肌肉と口は、脾と強くかかわるとされます。脾の状態が悪いと、肌肉はやせて、色つやも悪くなり、力もなくなります。急に痩せたとき、肌肉が落ちていたら、脾の変調が疑われます。また、味がわからなくなっても、脾の変調が考えられます。よだれの量にも影響します。少なすぎると、口の中が乾燥し、飲み込むのも消化もうまくいきません。多すぎるとだらだらと口から流れ出たり、噛まずに飲み込むことができるので早食いになったりします。思うことと脾は強く結びつくとされ、考えすぎは脾を傷つけます。また、脾が変調して昇清機能が弱くなると、脳に気や血がまわらないために、思考がまとまらず、くよくよと考え続けるようになります。

脾の変調でおこる症状

消化・吸収の機能が悪くなり、腹痛や下痢をおこすことがあります。また内臓を持ちあげる機能が弱くなるとされます。血が漏れないようにする機能が低下すると、血尿などがでます。脾が変調すると、筋肉の肉の部分と口にも症状がでて、痩せたり、よだれの量が変化することもあります。

脾は思の感情と強く結びつくとされます。考え過ぎは脾を変調させます。

脾の変調は口にもあわられるといいます。味覚異常になることがあります。

津液が滞るために、痰が出ることが多いです。

消化・吸収がうまくいかなくなると、食欲不振になったり、腹部膨満感がでることもあります。

内臓を持ちあげる機能が不調になる場合もあり、胃下垂や脱肛などになります。

食べるとすぐに眠くなります。気が不足していて、消化・吸収で気をつかうと、脳に送る分が足りなくなるためとされます。

血が血脈から漏れて、血尿や血便として出てくることもあります。

豆知識*脾は、消化・吸収作用によって、飲食物からエネルギーを取り出します。つまり、生まれてから後のエネルギーをつくる場所であるために「後天の本」とよばれます。脾と胃は昇降の関係で、胃は分解したものを小腸におろし、脾は水穀の精微を肺に上げます。胃は陽で湿り気を好み、脾は陰で乾燥を好みます。この相互関係が消化吸収に役立っています。

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