五臓の変調④肝の変調

東洋医学では、筋肉のうち、筋膜や腱、靭帯を筋とよび、やわらかい肉の部分を肌肉(きにく)といいます。

疏泄機能が失調すると気・血・津液の動きに影響する

肝には、疏泄機能と蔵血機能があるとされます。

疏泄は気の動きを調節する機能です。肝が変調して、疏泄機能が悪くなると、気が正しく流れなくなると考えられます。気が流れなければ、血と津液の流れも滞ってしまいます。血の流れが停滞すると血がたまってどろどろになります。この汚い血を瘀血といいます。瘀血ができると、女性では、生理不順や月経痛があわられやすくなります。また、津液が滞った汚い水を水湿といいます。さらさらした水湿が湿、どろどろした水湿が痰になります。湿や痰ができると、呼吸器系の症状がでやすくなります。

疏泄はストレスに非常に弱いと考えられます。疏泄がうまくはたらかないと、肝だけではなく、脾と胃にも影響がでます。緊張すると胃痛がおこるのは疏泄の不調が胃に伝わったからと考えられます。ストレスによる疏泄異常が改善されないと、胃・十二指腸潰瘍を引きおこすことがあります。疏泄は感情も調節していて、不調は気持ちの乱れにつながるといいます。疏泄が十分に機能しないと、気持ちが落ち込んで抑うつ感や不安が強くなります。疏泄が亢進すると、イライラして、周囲にあたり散らかすようになります。肝は怒りの感情と強く結びついていて、ひどく怒ると、疏泄が過剰に機能することがあります。

蔵血機能が失調すると血の不足と過剰がおこる

蔵血は血を貯蔵し、出ていく血の量を調節する機能です。肝が変調して、血が不足すると、はたらかなくなる器官や組織がでてきます。また、貯蔵できなくなると、肝から血があふれて出血したすくなります。出血による赤い斑点が皮膚にできたり、女性では月経が長引いたり、経血量が増えたりします。

肝は、筋と爪、目に強いかかわりをもつとされます。筋(腱・靭帯・筋膜)は肝の血から栄養をもらっているため、蔵血機能が失調して血が足りなくなると、しびれやふるえがでます。血不足のままスポーツをすると、筋が弱っているので、けがをしやすいといわれます。爪にも異常がでやすく、変形したり、すじができたり、色がおかしくなります。

目を酷使すると、肝の血を多く使うと考えられます。血が足りないと、目に栄養をまわせないので、目がかすんだり、視力が落ちたりします。眼精疲労は、肝の変調が原因であることも多いです。

肝の変調でおこる症状

気をめぐらせる機能が悪くなると、血や津液の動きが異常になると考えられます。血をためたり、送る量を決める機能が不調になると、血が不足したり、出血することもあります。肝が変調すると、筋や爪、目にも症状がでるので、手足が震えたり、爪が変形することがあります。

肝は怒の感情と強く結びつくとされます。激しい怒りは肝を変調させます。

肝の変調は目にもあらわれるといいます。目が疲れやすく、かすんで見えにくくなります。

血の流れが早くなりすぎると、血を吐くこともあります。

瘀血ができたり、血をためておく機能が悪くなると、月経が異常になりやすくなります。

肝の変調は爪にもあらわれるといいます。爪にすじがでたり、色が悪くなったりします。

疏泄機能が低下した場合は、気持ちが落ち込み、不安感が強くなることがあります。

豆知識*肝の気が集まったものが胆汁となります。胆銃はいったん胆にためられたあと、小腸に分泌されて消化を助けます。そのため、肝の調子が悪くなると胆汁の分泌に異常がおこります。胆と肝は意識活動に強く影響します。「肝は謀慮をつかさどる」「胆は決断をつかさどる」といい、肝が考えをめぐらせて、胆が決断をくだします。胆が弱っていると決断力が乏しくなります。

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