五臓の変調⑤腎の変調

東洋医学では、髄は骨髄と脊髄に分けられます。脊髄は上部で脳につながり、脳は髄が集まった部分なので「髄海」ともいいます。

蔵精が失調すると精が不足する

腎には、蔵精・主水・納気という3つの機能があるとされます。

蔵精とは、腎が精を貯蔵しているということです。腎が変調すると、蔵精機能が失調し、腎精(腎の精)が足りなくなります。不足すると、子どもでは成長の遅れ、成人では性機能の減退、物忘れが増え、足腰がだるく、ころびやすくなるとされます。腎精の減少は老化現象といsてあらわれるので、急速に減ると老化も早く進みます。

精には髄を生じる作用があるとされます。髄は骨に入っていて、骨に栄養を与えています。骨髄が足りないと、髄が減るため、骨がもろくなってしまいます。歯も腎精から栄養を受けています。年をとって、骨粗鬆症になったり歯が抜けるのは、腎精不足が原因とも考えられます。また、脊椎の中の髄は、脳につながっているため、この部分の髄が減ると脳のはたらきが衰え、認知症や物忘れがおこるといわれます。

主水と納気のはたらき、恐怖がおよぼす影響

主水は水分の代謝を調節することをいいます。腎は、全身から集まってきた水分を必要なものと不要なものに分別します。必要な水分は、腎から再び送り出され、不必要な水分は膀胱にまわされて排泄されます。主水が正常に機能しなくなると、水分の代謝に障害がでます。排泄されるべき水分が体内に停滞すると、むくみになることが多いです。また、膀胱が尿を出すタイミングは、腎が決めているとされます。腎が変調すると、膀胱が正しくはたらかなくなり、尿が出なくなったり、逆に頻尿になったり、失禁したりします。

肺が大気から吸い込んだ清気を、腎におさめることを納気といいます。納気できなくなると、肺が吸入した気が腎に下がらないため、肺への気の出入りに支障がでると考えられます。そのため、息切れしたり、呼吸困難になります。

腎は、耳と外生殖器、肛門などと強くかかわっています。腎が弱ると耳鳴りや難聴があらわれ、大小便を失禁するようになります。また、つばは、口の中をうるおし、食べ物を飲み込むのを助け、腎精に栄養を与えるとされる大事な津液です。腎の変調でつばの量が変化することがあります。恐怖の感情は、腎と深くかかわるとされます。強い恐怖を感じると腎を痛めることになります。「あまりにこわくて尿を漏らす」のは、強い恐怖が腎を弱らせ、膀胱を閉じる機能が失調してしまうからと考えられます。恐怖を感じて、白髪になったり、毛が抜けるのも、腎が痛めつけたからです。

腎の変調でおこる症状

精をためる機能が弱くなると、成長や性機能に異常がみられ、老化が進むとされます。骨が弱くなり、脳のはたらきが衰えることもあります。むくみができ、排尿障害や、呼吸に支障がでることもあります、腎が変調すると、耳やつばにも症状がでるので、耳鳴りがしたり、つばが減ることもあります。

腎は恐の感情と強く結びつくとされます。強い恐怖は腎を変調させます。

腎の変調はつばにもあらわれるといいます。つばが減って口の中が乾いたり、逆に多すぎたりします。

命のスタミナとされる腎精が足りなくなるため、全身に力が入らなくなることが多いです。

排尿のタイミングがとれなくなるために、失禁してしまったり、尿がでなくなったりすることがあります。

腎精不足で髄がつくれないと、物忘れが増えたりすることもあります。

高齢者の腎精不足では、とくに足腰が弱くなることが多く、ころびやすくなります。

腎精が不足している子どもは、成長が遅いことがあります。

豆知識*腎には、腎陽と腎陰がやどり、各臓の陰陽の根本となっています。腎陰は真陰ともいい、人体の陰液の根源であり、全身をうるおしています。腎陽は陽気の根源であり、全身を温めています。腎には陰と陽の両方が存在することを、水と火になぞらえて、腎を「水火の宅」ともよびます。腎陰を「命門の水」、腎陽を「命門の火」とよぶこともあります。

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