便秘

便秘

排便は、1日1回有形便の排泄が普通です。2〜3日に1回という場合もありますが、このような場合は便秘とはいいません。便秘とは数日以上排便がなく、かつ排便間隔が不規則になった場合をいいます。この場合の糞便は水分含量が少なく、硬くなります。軽度の腹部膨満感、不快感、下腹部痛をともなったり、頭痛、めまいなどを訴えることもあります。長く続く便秘の場合、逆に下痢が起こることもあります。これは硬い糞便の刺激で腸粘膜が炎症を起こすためです。

排便の機序

排便の起こりは、左側大腸の蠕動(胃腸の動き)によって開始されます。その誘因には、食事をすると起こる胃・結腸反射、歩行、喫煙、さらには心理的因子などがあげられます。左側大腸の下行性蠕動により、内容物がたまり、直腸内圧が高まり、排便刺激となります。直腸の刺激は、骨盤神経を介して脊髄の排便中枢や大脳に伝えられて便意をもよおし、排便反射が起こります。排便の際には、腹壁筋収縮などの腹圧上昇が協力して、排便が行われます。

便秘の分類

一般には便秘は、その障害の種類により、器質性と機能性とに大きく分けられます。

●器質性便秘

大腸の器質的な障害に基づくもので、大腸内腔の狭窄や拡張による糞便の通過障害が原因になります。腸自体の病変によるものは、腫瘍、炎症、瘢痕(潰瘍の痕)、憩室などがあり、腸外部の病変によるものは、子宮、卵巣など腹腔内腫瘤の圧迫、虫垂炎、女性の性器の炎症などによる腸管の癒着などがあります。大腸の先天的な形態異常も通過障害による便秘を引き起こします。結腸から直腸に移る部分に本来あるべき神経がないため便を押し出すことができない先天性巨大結腸症(ヒルシュスプルング病)や結腸過長症、大腸下垂症などでは、大腸が異常に拡大し、あるいは長いために糞便が停滞し、便秘を起こします。

●機能性便秘

便秘の大部分は、大腸の機能異常によるものですが、それは、次の3つに分類されます。

⑴痙攣性便秘

痙攣性便秘は、大腸の運動と緊張が増すことによりS状結腸が痙攣性収縮を起こし、腸内容物の通過が障害され、水分の吸収も増え便が硬くなり便秘を起こします。この便秘は持続性は少なく、しばしば下痢と交代します。過敏性腸症候群にみられる便秘は、この型のもので、糞便は兎糞状(コロコロした糞状)です。感動、不安などの精神的興奮や旅行、転任などの場合に起こる神経性便秘は、自律神経系の異常による痙攣性便秘と考えられます。

⑵弛緩性便秘

この便秘は、腸を支配する神経(アウエルバッハ神経叢)の興奮が不完全なため、結腸の運動と緊張が低下し腸内容物の通過時間が長引き、水分の吸収が増えて便が硬くなり起こります。その結果太くて硬い糞便の排出がみられます。大腸の運動と緊張が低下する原因には、食物性繊維の少ないやわらかい食物(腸粘膜に適度な刺激を与えない食物)中心の食事、老化、全身衰弱、運動不足、座って行う仕事、臥床、腹圧の減退(出産経験のある人など)、内分泌異常(甲状腺機能低下症など)があり、そのほかに開腹手術、脊髄損傷、薬物などによっても腸管の運動麻痺が起こります。

⑶排便困難

排便困難または直腸性便秘は、直腸に糞便が入っても、骨盤神経による排便反射が鈍くなっていたり、麻痺しているため排便が起こらないものです。原因は、生活習慣や痔の排便痛により便意を我慢するために反射機能が減退することにあると考えられています。浣腸の濫用によっても便意の消失が起こります。

便意にともなう症状

便秘にともなって現れる症状としては、腹痛、腹部膨満感、食欲不振のほか、頭痛、疲労感などの不定症状、下痢などもみられます。腹痛は、左下腹部の場合が多く、排便後に軽減することが多くみられます。頭痛、疲労感などの不定症状は、痙攣性便秘にともなってみられることが多く、自律神経異常、心因性要素の関連が考えられます。下痢は、痙攣性便秘の場合、しばしば交代性に現れます。そのほか、硬くなった糞便が排泄されるとき、粘膜を刺激して下痢を起こすことがあります。

便秘の治療

便秘症として治療の対象を考える場合、患者と医師とでは、一致しないことがあります。患者は、毎日便通があっても便が硬いとか、少ししか出ないとか、便通があっても残っているような感じがあるなどと、下剤を服用しなければ満足しないこともあります。一方、1週間くらい排便がなくても全く異常を感じない人もいます。したがって、治療の対象としての便秘を考えるときには、便秘のしくみ、病態をよく理解し、まず日常生活の改善に十分配慮することが大切です。

●生活面の改善方法

⑴トイレット・トレーニング

胃・結腸反射の最も強く起こる朝食後に、便意の有無にかかわらず、排便に努める訓練です。正しい排便週間をつけるための、最も重要な治療法の一つです。

⑵運動

家庭の主婦は、台所仕事だけでは運動が十分ではないので、買い物、散歩などでよく歩くことや毎日体操をすることも大切です。座って仕事をする人や老人なども時々からだを動かすことが便秘の解消に効果的です。

⑶不安・ストレスの除去

痙攣性便秘では精神的影響が強いので、心やからだの疲労や緊張を和らげるために適度の休養や睡眠(早寝)をとることが必要です。

⑷食事療法

朝食を抜きがちな学生や勤め人、食事量の少ない老人に多い弛緩性便秘では、胃・結腸反射を亢進させるため、食事量を十分に摂取し、特に繊維含量の多いものを多めに摂取して腸管を刺激するようにします。食事前後に、海藻類や牛乳を摂取したり、水を多めに飲むことも効果があります。

痙攣性便秘の人では、逆に、腸管を刺激するもの(高繊維食、アルコール、冷たいものなど)を避け、消化しやすく、かすが残らないようなものを摂取します。脂肪の少ない肉や赤身の肉とか、卵、米、砂糖などは、かすが少ない食物です。

便秘の光線治療

病気のために可視総合光線療法を行っていると、以前からあった便秘が、解消されることがあります。したがって、何か病気があり、そのために便秘がみられるときは、特に便秘のための光線治療は必要ありません。原因となっている病気の光線治療をしていれば、病気の改善とともに自然に便通は良好になります。

●一般的な便秘の光線治療

♢治療用カーボン:3002ー3002番、または3002ー5000番、4008ー6001番を用います。

♢光線照射部位:両足裏部⑦、両膝部②(以上集光器使用せず)、左右下腹部(以上1号集光器使用)、腰部⑥(集光器使用せず)を各5分間照射します。軽症の場合は⑦②のみをやや長めに照射するだけでもよいでしょう。重症の場合は、⑦左右下腹部の照射は各10分間とし、さらに腹部⑤(集光器使用せず)を5分間追加照射します。

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