慢性関節リウマチ治療上の留意点

慢性関節リウマチ治療上の留意点

慢性関節リウマチは、女性に多い自己免疫疾患の一つです。原因は不明で、経過は一定ではありません。治療によって症状が軽快しても全治とはいわずに、鎮静したとか緩解したとかいう表現を用います。したがって、治療の主な目的は、病状の進行を遅らせ、日常生活が少しでも円滑に行えるようにすることにあります。

慢性関節リウマチの経過

慢性関節リウマチの患者は、日頃、運動量の極度に少ない低運動生活に陥っている場合が少なくありません。これは、運動によって炎症がさらに悪化し、関節の腫脹や疼痛(痛み)が現れるのを恐れるためです。元来、筋肉、骨、関節などの運動器は、運動することによって、正常の生理機能や新陳代謝が円滑に営まれる器官です。したがって、長期にわたる低運動生活は、末梢の循環不全と運動器の栄養障害を助長するばかりでなく、このような環境では、自然に備わった生体の組織修復力も有効に働かないことになります。一方、全身の消耗性疾患であるリウマチは、患者の精神的負担も大きく、その結果、うつ状態が現れることも少なくありません。病状の程度の強いもの、病歴の長いもの、病状が進行やすいものなどが、うつ状態に陥りやすい傾向にあります。これは、性格的な要因のほかに、疾患に対する不安感、病状の進行に対する恐怖心、治癒へのあせり、苛立ちなどによって現れると考えられます。慢性関節リウマチの経過は、およそ3つの型に分けられます。約50%は2年以内に緩解し、10%前後は寝たきりあるいはそれに近い状態になり、残りの40%はその中間をたどるといわれます。

全身的な総合治療の重要性

リウマチ患者、特に中年以降の患者は、高血圧や心臓病などの生活習慣病(成人病)を合併することが少なくありません。したがって、慢性関節リウマチは、局所の関節の治療だけでなく、全身的な治療をすることが重要になります。そのためには、内科医、整形外科医、リハビリ医、精神科医、看護婦、理学療法士、作業療法士、ソーシャル・ワーカー、保健婦などの参加が必要となります。しかし、わが国には、これらの中心になる専門のリウマチ医がまだ少ないのが現状です。

自分でできる治療

慢性関節リウマチは、自分自身で行う治療も重要になります。可視総合光線療法は、運動療法、食事療法がそれです。

可視総合光線療法

慢性関節リウマチでは、からだが冷えたときや、天候の変わり目などに関節痛が出ることがあります。この痛みは、末梢の血行障害が、関節周囲組織の酸素欠乏と栄養障害を引き起こし、発痛物質(痛みを起こす物質)が生じるために現れます。血行障害が原因なので、局所に血行改善に努める必要がありますが、それには温めるのが最良の方法で、可視総合光線療法は自宅でできる最適の治療法です。

可視総合光線療法は、可視総合光線療法の光と温熱によって、血行障害に陥った関節の血行を改善し、発痛物質を早く除去して鎮痛・消炎効果を発揮します。痛みが軽減すれば、運動療法が円滑に行えるようになります。光線療法と運動療法の併用は、関節周囲の血行をますますよくし、障害を取り除いて関節の修復を促進します。加えて筋肉を増強されることにより、関節の動きを安定させることがあり、しいては関節の変形の予防にもつながります。

なお、リウマチが恒例になってから発症したような場合は、経過が良くないともいわれますので、体力のない高齢者では、全身を治療する可視総合光線療法の必要性はさらに高くなります。また、経過の長いリウマチは、自律神経系が不安定になりやすいので、この意味においても、可視総合光線療法で自律神経系の安定を図る必要があります。

●運動療法

運動療法は、障害された生体や組織がもっている自然の修復力を引き出し、損なわれた運動機能の再建を図るために、重要な役割を担うものです。しかし、慢性関節リウマチは全身の病気なので、病気の時期を考慮しながら、安静とのバランスをとるようにしなければなりません。急性期は、全身の安静、関節局所の安静、および精神の安静の3つの安静が必要です。慢性期は、薬だけに頼ってあまりに長期間安静にしていると、関節を動かす筋肉の拘縮が起こり、廃用性萎縮を招くことになります。筋肉を萎縮させないためには常に運動し、筋肉に運動刺激を与えることが大切です。

●食事療法

消耗性疾患である慢性関節リウマチは、食事療法も大切です。この病気に特別の食事療法はありませんが、栄養不足はリウマチの症状を悪化させる結果になります。高たんぱく、高カロリー、高ビタミンのバランスのよい食事に配慮する必要があります。ただし、肥満は関節の負担を大きくし、治りを悪くしますので要注意です。骨の障害を予防し、骨を強化するために、カルシウム不足にならないようにし、同時にカルシウムの吸収を助けるという面からも、可視総合光線療法は役立ちます。やせ型のリウマチ患者は経過がよくないので、このような患者には、特に食事への配慮が必要です。

慢性関節リウマチの光線治療

♢治療用カーボン:3001ー4008番あるいは3001ー5003番、4001ー6008番を用います。

♢光線照射部位:両足裏部⑦、両足首部①、両膝部②(以上集光器使用せず)各5〜10分間、後頭部③(1号集光器使用)5分間あるいは左右咽喉部④(2号集光器使用)各5分間。ただし、冷えの状態に合わせて⑦①②のなかで特に冷える部位は、照射を20分間程度にします。全身状態が比較的よければ、腹部⑤、腰部⑥(以上集光器使用せず)各5分間を追加してもよいのですが、陽性反応を少なくするために、1回の治療時間は一般的に40分間を超えないようにします。

♢光線照射距離:原則として、気持ちよく感じる距離で行います。ただし、気持ちよく感じる距離で照射して、皮膚が赤くなったり、かゆくなったりする場合は、それよりさらに離して照射するようにします(この場合は、多少温かみが少なくなってもかまいません)。このようなことは、治療初期や冷え症が強い場合にみられます。光線治療に慣れてきたら、少しずつ、本来の気持ちよく感じる距離に戻していくようにします。

●光線治療の要領

間接照射(痛みのある部位ではなく、⑦、①、②、③などへの照射)は、食欲が出て、よく眠れるようになるまで2〜3週間程度続け、その後は痛む部位の直接照射を追加します。関節への照射は、患関節すべてを一度に照射せずに、いちばん悪い関節の2〜4カ所程度を必ず集光器を使用して、5〜10分間照射します。患関節の部分が多い場合は、照射する関節を日によって変更して治療する方法もあります。この場合も、1日に治療する患関節の部位は、2〜4カ所程度にします。3カ月程度治療して、光線治療に慣れると照射時間が長くなる傾向がありますが、治療時間が長くなってきたときは、治療を朝晩など2回に分けるようにします。1回目は全身の治療(間接照射⑦①②など)を行い、2回目は患関節のみ治療するという治療の行い方です。ただし、単に長く治療すればよいというわけではありません。体調に合わせて、全体の治療時間は長くても1日90分間以内が適当です。

●家族の援助

光線治療を行う場合、痛む関節が多かったり、手指の痛みや変形があると、患者一人では治療の準備や照射器の操作など、つらいことがあるので、家族の援助も必要です。ただし、治療経過と痛みの様子をみながら、なるべく患者自身で治療するように努めます。

●集光器使用の意義

患関節へ、集光器を使用せずに長めに照射すると、関節が重く感じたり、痛くなったりすることがあります。皮膚を温めても、冷やしても、皮下の血管は、まず収縮し、それから拡張して皮膚の充血が起こります。これは「二次的反応」といい、症状の改善に必要なからだの反応です。しかし、集光器を使用しないで長くあるいは熱く照射すると、二次的反応が強く起こりすぎるため、患関節への血流が一時的に急速に増加し、痛みが強くなることになります。これは炎症が強いときにもみられる反応です。したがって、これを防ぐためには、二次的反応が強すぎないようにすればよいわけです。それには、集光器を使用して、照射される光線の量を減らし、患関節への血流の増加をゆるやかにすることです。まれに、集光器を使用しても痛みが強くなることがありますが、この場合は患関節への直接照射をしばらく控え、足裏部、足首部、膝部為そ間接照射を十分に行い、全身の血行を改善してから直接照射を追加します。また、冷え症が強く血行が悪いと二次的反応が起こりにくいので、この場合も間接照射を優先させます。このような現象を理解することは、関節リウマチの場合だけでなく、炎症や腫脹(腫れ)のある関節の光線照射で温めるときの不安の解消にもなるでしょう。

慢性関節リウマチの光線治療経過

可視総合光線療法による治療経過はさまざまですが、その効果は、およそ2年以内が一つの目安になると思われます。治療中によくみられる経過は、以下の通りです。

1.治療用カーボンは、症状によっては3001ー4008番より3001ー3001番、あるいは3000ー4008番を用いたほうがたいへん気持ちよいことがある。

2.よく眠れるようになり、睡眠薬を減量あるいは中止することができた。

3.朝のこわばりが早くとれるようになった。

4.疲れ、だるさがとれてきた。

5.気力が出てきた。

6.足のむくみがとれてきた。

7.立ち仕事が以前より苦にならなくなった。

8.歩行が楽になり、長く歩くことが可能になった。

9.階段の昇降がつらくなくなった。

10.鎮痛剤(坐薬)を減量あるいは中止することがきた。

11.関節の動きがなめらかになり、動きがよくなって、握力が出てきた。

12.肩、腕、手首の痛みが軽くなり、ふとんの上げ下ろしが楽にできるようになった。

13.ほとんど寝たきりの状態が、普通に生活できるようになった。

14.検査で、リウマチ反応(+)(±)あるいは(−)になった。

15.血沈などの検査結果が改善してきた。

このように、可視総合光線療法により症状の改善が見られますが、当然患者の病状や進行程度により改善の程度には違いがあります。半年程度の治療でよくなる場合は、関節の変形はあまり生じないようです。症状が楽になっても、天候の変化、冷え、動きすぎ、風邪などを機会に再び痛みが出やすいので、油断せずに定期的(毎日、隔日、2回/週など)に治療を継続することが大切です。特に注意が必要なのは、リウマチの治療中に関節の手術を受けたり、関節リウマチ以外の病気で手術を受けた場合です。手術によって体調が変化し、一時的にリウマチの症状が悪化することが少なくありません。

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