東洋医学の歴史①中国伝統医学の原典

神農

古代中国の伝統の帝王です。炎帝ともいいます。人々に農業と医薬を教え、市場を設けて商業も教えました。医薬・農耕の祖であり交易の神ともされます。

『神農本草経』と『黄帝内経』

中国伝統医学(中医学)の現場では、現在でも、古代に書かれた原典3冊を参照することが多いです。

薬物に関する原典が『神農本草経』、医療に関する原典が『黄帝内経』、薬物療法の原典が『傷寒論』です。これらの書物が書かれた年代や著者については、さまざまな説があります。

中国伝統医学は、神話の時代までさかのぼることができます。古代中国の帝王であった神農は、からだは人間、頭は牛という姿といわれています。みずから草を食べて、毒草と薬草を調べたといいます。医学と農学を人々に伝えた伝説上の存在です。

前漢(紀元前202〜後8年)末期には、神農の名を冠した『神農本草経』が書かれています。365種の生薬を紹介している、もっとも古い生薬の書籍です。前漢時代にはすでに生薬の性質と使い方が整理されていたことがわかります。

また、前漢時代にまとめられたといわれる『素問』と『霊枢』の2部を合わせたものが『黄帝内経』とされています。『素問』は失われてしまったが、唐(618〜907年)の時代に、王冰が編纂し直したものが伝えられています。『素問』は、古代中国の伝説上の帝王である黄帝が投げかけるさまざまな疑問について、学者が答えていく形式で書かれています。さまざまなツボ(経穴)、経脈、気、血など東洋医学の基本概念が陰陽五行説にもとづいて記されている理論書です。

一方、『霊枢』は、診断、治療、鍼灸術などの実践的な医療技術が記されています。存在が伝えられていただけだったものが宋(960〜1279年)の時代に発見され、明(1368〜1644年)のときに改訂されたものが現在に伝わっています。

張仲景の『傷寒論』と温病論

『傷寒論』は、後漢(25〜220年)の時代に張仲景によって著されたとされます。

急性悪性感染症(腸チフスに似たもの)と、急性良性感染症(かぜ症候群)をとりあげ、時間の経過にしたがって変化していく症状と対処法を、両者を比較しながら解説したものです。単純な治療方法ではなく、病気そのものに対する診断方法や治療の原則を記してあり、今なお、その価値はゆるぐことはありません。

その後、中国では『傷寒論』で対処できない、疾病が流行するようになりました。ウイルスがおこすインフルエンザなど急性の熱性感染症です。これらの疾病の治療法は、清(1636〜1912年)の時代には、温病論としてまとめられました。

中国の医学史年表①

伝説上の三皇五帝の治世 神農、黄帝の時代
春秋・戦国時代(前770〜前221) 扁鵲が活躍したと伝わる。
鄒衍が五行説を創案。
秦(?〜前206年)・前漢(前202〜後8) 倉公が活躍したと伝わる。
前168ごろ 馬王堆3号墓に『五十二病方』(薬の処方集)や『導引図』など医書が埋蔵される。
前139 劉安による『准南子』が成立。原始的な医療行為や五行相生説について言及されている。
前91ごろ 司馬遷『史記』を著す。扁鵲と倉公の伝がある。
前漢末期 『神農本草経』が著される。
前漢末期 『素問』『霊枢』より『黄帝内経』が成立する。
後漢(25〜220) 扁鵲によると伝わる『難経』の成立。
華陀が活躍したと伝わる。
後漢末期 張仲景が『傷寒雑病論』を著し、後に『傷寒論』『金匱要略』に分けられた。
三国時代・五胡十六(220〜439) 280ごろ 皇甫謐が『黄帝三部鍼灸甲乙経』を著す。
280ごろ 王叔和が『脈経』を著す。
南北朝時代(439〜589) 500ごろ 陶弘景が『神農本草経集注』を校訂出版。
隋(581〜618) 610 巣元方が『諸病源候論』を編集。およそ1700項目からなる、病因、病理、症例を解説している。病理学書としてはもっとも古いもの。後の多くの医学書が規範とした。
唐(618〜907) 唐初期 楊上善が『黄帝内経太素』を著す。
624 太医署がもうけられ、医学教育が行われた。鍼博士などがおかれ、学生が鍼灸を学んだ。
652 孫思邈が当時の処方を集めた『千金方(備急千金要方)』を著す。これを補完する目的で著された『千金翼方』では五行色体表が初めて登場する。
752 王 が『外台秘要方』を著す。
762 王冰が『素問』を編纂する。

豆知識*中国最古の王朝・夏の前に三皇五帝の治世があったとされます。三皇は、伏義、女媧、神農(諸説がある)、五帝は黄帝、顓頊(せんぎょく)、嚳(こく)、堯(ぎょう)、舜。温病論がまとまった時代、日本では鎖国をしていたために伝わってきませんでした。そのため日本の漢方医学にはインフルエンザなどに対応する処方が存在しませんでした。

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