東洋医学の歴史②中国の歴代名医たち

皇甫謐

放蕩を繰り返したが叔母のいさめで発奮して、広く書物の研究に没頭しました。皇甫家は漢末期から続く由緒ある軍人の家系です。

伝説に息づく扁鵲、倉公、華陀

中国の医学史には、さまざまな名医が登場します。そのごく一部を紹介しましょう。

前漢(紀元前202〜後8年)の歴史家、司馬遷が著した中国で最初の歴史書である『史記』には、扁鵲と倉公という2人の名医の伝記があります。扁鵲(本名:秦越人)は、中国伝統医学の祖師とされます。春秋・戦国時代(紀元前770〜前221年)に活躍し、脈診にすぐれ、とくに鍼治療にたけていたといわれています。倉公(本名:淳于意)は、秦(?〜前206年)から前漢に活躍した名医で、鍼のほか灸治療も行っています。

後漢(25〜220年)の伝説的な名医であり、『三国志』にも登場する華陀は全身麻酔を行ったと伝えられています。『後漢書』によると、麻沸散という薬を酒とともに病人に飲ませ、眠ったところで開腹し、胃腸の患部を摘出しました。傷口は縫い合わせて神膏という膏薬をつけておくと1か月で完治したといいます。5種類の動物のポーズをもとにした五禽戯(導引)をあみだし、太極拳や気功のもととなりました。屠蘇を考案したともいわれます。

張仲景、皇甫謐を経て李時珍へ

張仲景は、中国医学の医聖とされます。

後漢の都洛陽にいたときに、疾病(傷寒)で大勢の人が亡くなりました。これを嘆き、『傷寒雑病論』をまとめたとされます。この本が後に『傷寒論』『金匱要略』に分けられたといわれています。望診にすぐれ、一目見た相手の死期まで予見したといいます。

西晋(265〜316年)の皇甫謐は、医師というよりも、学者として知られます。42歳のときに脳卒中と考えられる病気にかかり半身不随となりました。そのとき、服用した薬で症状が悪化したため、医学にめざめ、歴代の医書を研究しました。『素問』『霊枢』『明堂経』に注釈を加えて、『黄帝三部鍼灸甲乙経』を編纂しました。現存する最古の鍼灸医学書です。

時代が進むにつれ、医学教育や古典をもとにした医学研究が盛んになりました。12〜14世紀の金と元の時代には中国医学は細分化されて、いっそう発展していきます。その一つの李朱医学は、日本の医学に大きな影響を与えました。

李時珍は明(1368〜1644年)の時代の名医です。中国各地をめぐって薬草や民間療法の情報を集めました。その集大成が『本草綱目』で、収録されている薬品数は1903種におよびます。古代からの伝統的な本草学と金・元時代の漢方理論を統合させたもので、以後の東洋医学の湯液治療の基礎となりました。

中国の医学史年表②

北宋(960〜1127) 1057 校正医書局がもうけられ、多くの医書の古典が校訂された。
1076 太医局がもうけられ、その後、全国に官営の薬局が広がる。これらの薬局では『和剤局方』と言う処方集が使われた。
1082 唐慎微が『証類本草(経史証類備急本草)』を編纂した。広く普及し、後に『大観本草』『政和本草』と改訂されている。
南宋(1127〜1279)

金(1115〜1234)

元(1271〜1368)

1186 劉完素が『素問病機気宜保命集』を著す。劉完素、張従正、李東垣、朱震享は金元四大家とよばれる。この時代、古代中国医学は大きく変貌し、金元医学とよばれる。
1217 張従正が『儒門事親』を著す。
1249 李東垣が『脾胃論』を著す。
1347ごろ 朱震享『格致余論』『局方発揮』を著す。
明(1368〜1644) 1501 張世賢が『難経』の注釈書である『図註八十難経弁真』を著す。
1578 李時珍『本草綱目』を著す。1590年より刊行開始、死後3年後の96年に完了。
1599 趙開美が『仲景全書』を刊行。このころより『傷寒論』『金匱要略』が広く知られるようになり、研究が盛んになる。
1601 楊継洲『鍼灸大成』を著す。
1624 張介賓が『黄帝内経』を再分類して解説を加えた『類経』を著した。ほかに『景岳全書』もある。
清(1636〜1912) 1642 呉有性が『温疫論』を著す。以後、温病論の研究が盛んになる。
1694 汪昂が当時の薬物学をまとめた『本草備要』を編纂。その後『医方集解』も著す。
1746ごろ 葉天士の『温熱論』『臨床指南医案』が弟子によりまとめられる。
18世紀 医学事典がつくられるようになった。『古今図書集成・医部全録』など。
1798 呉鞠通が『温病条弁』を著す。
1852 王孟英が『温熱経緯』を著す。
清末 西洋医学を取り込もうとする動きもでてくる。

豆知識*扁鵲は鳥の姿で描かれることが多いです。 カササギを意味します。各地をめぐって医療を行ったとされ、医療を専門にした集団か学派のことではないかとも考えられています。『本草綱目』は完成までに26年を費やしたとされます。全52巻です。薬物は鉱物、植物、動物で分類され、産地や採集法、加工法、薬効と病名などが解説され、図版が添えられています。

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