生体リズムと光療法

生体リズムと光療法

近年、うつ病の治療法として光療法が注目されています。1984年、米国のローゼンタールらは、毎年秋冬に抑うつ状態を示し、春夏になると軽快する「冬季うつ病」に高照度の光照射が有効であることを発表しました。以来、光療法の効果が多く報告されています。また、光療法は、睡眠障害の一つとしての睡眠・覚醒リズムの障害などの治療にも取り入れられています。

光の間接効果

人間など哺乳類のからだの組織に対する光の効果には、直接効果と間接効果があります。直接効果は、組織そのものが光化学反応を起こす場合をいい、間接効果は明るい光を受容する細胞から神経や神経内分泌への信号によって起こる場合をいいます。間接効果は、光が眼球を通過して網膜にあたると、網膜にある光受容細胞が活性化され、光のエネルギーが神経インパルスは生体時計の中枢である視交叉上核、脳、脳幹、脊髄を通って、脳のほぼ中心部にある松果体や脳下垂体などの内分泌器官に伝達され、その器官からのホルモンによって副腎や卵巣のホルモン分泌が調節されます。光療法は松果体から分泌されるメラトニンというホルモンと深い関係があります。

生体リズム

生体はその行動や生理現象に一定のリズムがあります。これを生体リズム(生体時計)といいますが、このリズムを作る部位(中枢)は、視床下部の視交叉上核にあるといわれています。リズム異常であるうつ病は、その一因として生体時計のリズム異常による可能性が、下記に記述するようなことから示唆され、生体リズムに対する光の役割が注目されるようになりました。実際に生体リズムの異常は、血中メラトニンの動きをみることにより確認できます。

メラトニン分泌の調節

メラトニンの分泌は、顕著な日内変動があり眼から入った光の刺激により昼間は低下し、光のない夜間は増加します。またメラトニンは、夜間生産されるので、冬の夜長の季節はメラトニン分泌が増加し、夜の短い夏の季節には逆に低下し、季節変動も示します。

ネズミなどの哺乳類では、冬のメラトニン分泌時間は夏の2倍になるといわれます。しかし、人間の場合、冬の分泌時間に明らかな延長はありませんが、分泌時間の後退(ズレ)が認められるといわれています。したがって、哺乳類は脳のほぼ中心部にある松果体が、メラトニンリズムによって夜の長さを測定する光周期尺度として機能していると考えられます。

メラトニンの作用

メラトニンの生理作用は睡眠を誘発し、排卵などの性的機能を抑制するといわれています。メラトニンの生理作用は睡眠を誘発し、排卵などの性的機能を抑制するといわれています。メラトニンは、脳の活動全般に対して抑制的な作用があることから、天然の精神安定剤として役立っています。事実、人にメラトニンを投与すると、覚醒レベルの低下と眠気の増強が起こることが示されています。以前から、子供で松果体に腫瘍ができて松果体の組織が壊れると、早発性の性成熟が起こることがわかっていました。これは、松果体ホルモンであるメラトニンに性成熟を抑える働きがあるためです。

うつ病におけるメラトニンの分泌異常

1979年、うつ病患者の夜間におけるメラトニン生産・分泌の減少が初めて明らかにされました。これにより松果体機能の異常が、うつ病患者における生体リズムの異常を起こす一因と考えられるようになりました。メラトニンは光によって調節されますが、1980年、人口の高照度照明で夜間にメラトニン分泌が抑制されることが照明されました。その後、高照度照明によって季節変動するうつ病の改善が初めて明らかにされました。さらに季節変動のないうつ病でも高照度照明は効果があることがわかりました。以上のように、うつ病患者では松果体・下垂体を中心とする生体リズムに異常があり、この異常は、眼に明るい光をあてることにより是正されることが明らかになってきました。

高照度照明による光療法

光療法の原点といえる日光浴が、睡眠・覚醒リズムの障害を起こしている患者に行われることがあります。例えば、入眠時刻が少しずつ遅れるため朝覚醒することが困難となっている場合は、睡眠時間帯を早くする目的で、午前中に日光浴を行い、入眠時間を早くし普通の睡眠時間帯に入眠が可能になるようにすることです。1982年、人工的な高照度照明を治療に使用したレビーらは、抑うつ状態が季節変動するうつ病患者に高照度照明(2000ルックス)の光治療を行い、冬期の抑うつ状態が改善することを初めて明らかにしました。1983年にクリッペらは、季節変動のないうつ病でも治療効果があると報告しました。さらに、1984年にローゼンタールらは、毎年秋冬に起こる悲哀感、活動の低下、社会的接触の喪失を代表とする抑うつ症状のほかに、過剰睡眠、過食などの状態を呈し、春夏になると軽快する一群を「冬季うつ病」と命名し、この一群に高照度照射が有効であることを報告しています。

光療法では、夜間のメラトニンを抑制しうる照度は1500〜2500ルックスという説が多いのですが、250ルックスでも2500ルックスでも抗うつ効果は同じであるともいわれています。健康な人では、夜間のメラトニンを抑制するためには509ナノメーターの波長(可視光線の緑青の光)が効果的であり、その照度は1000〜2500ルックス以上が必要とされています。光療法はいろいろな方法があります。通常の白色蛍光灯をほぼ眼の高さに置き、患者は約90cm離れた所定の照度の位置に座り、眠り込まないように注意し日常作業に従事するという方法や天井に白色蛍光灯を数多く備えつけた部屋で、決められた時間内、行動するという方法などがあります。

光線治療の光療法への応用

可視総合光線療法は、ある程度の光療法を自然に行っていることがわかると思います。それは、光線治療時、特にからだの前面(膝部、腹部など)を照射するとき光線の明るさを眼が感じているからです。また、照射される光線が眼に直接入るときには軽くまぶたを閉じて光線治療をしますが、可視光線はまぶたを通して眼に入るので光治療としての一面を持っています。しかし、光線治療を積極的な光治療として応用するためには、光線を直接顔(眼は閉じる)に照射して十分な照度を得る必要があり、照射距離を長めにして、照射時間も長くすることが必要になります。

♢治療用カーボン:3001ー5000番を用います。

♢照射部位及び照射方法:顔(眼)に照射するには、必ず軽く眼を閉じて、1号集光器で顔全体を約1mの距離から照射します。照射距離は、光だけをまぶたを通して眼に入れるということが目的ですので、約1mと十分に離して行います。この距離で大体1800〜2000ルックス程度の照射が得られます。なお、病状により眼以外にからだに対する光線治療も当然必要となることがあります。

♢照射時間:30分間

♢治療時間帯:朝なかなか目が覚めない(朝方睡眠過多)場合は朝に、また朝早く目が覚める(早朝覚醒)の場合は夕方に可視総合光線療法を行うようにします。この方法は、光治療を朝に行うと睡眠の時間帯が前進し、夕方に行うと後退することと同様です。

♢治療上の注意:光療法は睡眠障害やうつ状態、うつ病、躁うつ病、痴呆などが治療対象となります。光療法がこれらの病気に対してすべて効果があるとは限りません。病院の治療と併用して行ってください。

※1998年、米国のキャンベル博士は人間の皮膚に光センサーが存在することを示唆する研究を発表してます。光があたった皮膚からの刺激が脳に伝わり、メラトニンの分泌を調節して生体リズムに影響を及ぼすという新しい研究です。

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