脳血管障害の後遺症を鍼治療で改善

醒脳開竅法

中国では、鍼灸を脳血管障害の急性期の治療にもちいることが多いです。醒脳開竅法は発症直後から行うと高い効果が期待できます。

画期的な脳血管障害の鍼治療、醒脳開竅法

2008(平成20)年の脳血管障害による死亡者は約12万6000人とされています。患者者数はその10倍以上ともいわれます。脳血管障害後に、後遺症が残ることがあります。日常生活や歩行、会話、飲食などが以前のようにできなくなってしまう人も多いです。

後遺症に対して、医学的リハビリテーションとともに、鍼灸治療を受ける人もいます。鍼灸治療で、後遺症が改善された例は多くの報告があります。いくつかの治療方法があるが、なかでも初めてシステム化された、醒脳開竅法は有名です。

醒脳開竅法は1987(昭和62)年に北京で開催された世界鍼灸連合学会で発表されました。発症直後から採用することで、死亡率の低下、ADL(日常生活動作)の向上、合併症の治療などに効果をあげることができます。醒脳開竅法では、まひしている手足の部分には、直接深く鍼を刺して治療します。また、脳の血栓や出血部位に対しては、離れた手足のツボに鍼を刺し、遠隔刺激を伝えることで、血流の停滞が改善できるとされます。使うツボの基本は、内関、人中、三陰交、極泉、尺沢、委中、風池、天柱、完骨などです。これらのツボに、補瀉の手技を施します。刺激は一般の鍼治療よりも強めだが、症状によって加減します。中国では太い鍼を使用するが、日本の鍼でも適切な種類を選び、適確な手技を行えば、同様の効果をもたらすことができます。

まひの改善に大きな効果があり、医療連携もとりやすい

東京都大田区の牧田総合病院では1989年から醒脳開竅法を導入し、脳卒中センター、リハビリテーション部、および関連施設である牧田中医センターとの医療連携により、これまで4000名以上の脳血管障害の患者にこの治療法を施しています。急性期から取り入れることで回復を促したり、後遺症を軽くすることができます。醒脳開竅法はシステム化されているために、一定の技量をもつ鍼灸師であれば、トレーニングを受けることで、誰でもほぼ同程度の効果をあげることができます。牧田中医センターと後藤学園共催で行われた醒脳開竅法マスターコースでトレーニングを受けたスタッフのいる北海道の禎心会病院では、1995〜1996年までに脳血管障害で入院した患者237名のうち脳梗塞137名、脳内出血60名に対して、リハビリテーションとともに醒脳開竅法による治療を行いました。その結果、まひによる症状が改善された例は、脳梗塞で78%、脳内出血で71%でした。そのうち、手の上げ下げなどは35%、足の動きは90%が改善しました。特に、ある程度の筋力を残している不全まひには劇的な効果がありました。

醒脳開竅法は発症食後の急性期に取り入れるのが一番良いが、回復期に行ったとしても、ADLの向上はあります。治療してすぐに効果がみられることが多いため、患者と施術者が効果を確認しあい名がら治療を進められ、リハビリテーションとの医療連携もとりやすいです。さらに、患者のモチベーションを維持できるのも大切なことです。また、脳血管障害の再発予防効果も期待されます。

また、在宅医療のなかでも活用することができ、鍼治療によって拘縮が改善すれば、体位変換や衣服の着脱なども楽に行え、介護の負担を軽減できます。

豆知識*醒脳海峡法は天津中医薬大学第1付属病院の石学敏(せき がくびん)名誉院長が中心になって開発しました。最近は日本でも取り入れる病院や鍼灸院が増えてきています。脳血管障害後の後遺症に対する鍼治療は、慢性化したまひの改善などに使われることが多かったです。醒脳開竅法は発症直後から治療に取り入れることで、より大きな効果があります。

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