東洋医学において、「心」は単に血液を循環させる臓器以上の意味を持ち、精神や意識を司る重要な役割を担っています 。この「心」の働きに異常が生じると、身体的、精神的なさまざまな症状が現れます。
身体に現れる変調
心の変調は、まずその主要な機能である血液の循環に影響を与えます 。血液の流れが悪くなる、いわゆる血行障害が起こり、全身にさまざまな症状を引き起こします 。
- 顔色と唇の変色: 顔、特に顔面は血脈が集中しているため、血行不良になると血色が失われ、顔色が悪くなります 。唇の色も青紫色になることがあります 。
- 動悸と胸痛: 血液の流れを改善しようと心が激しく拍動するため、動悸を感じることが多いです 。心臓自身の栄養状態が悪くなると、さらに激しい動悸を感じるようになります 。また、心臓の中で血液が滞ると、胸に強い痛みが生じます 。
- 体温の低下: 血行障害により、手足が冷えたり、全身が寒く感じられたりすることもあります 。
- 汗と舌の異常: 心の状態は汗と舌に反映されやすいとされており、大量に汗をかく場合は心機能の低下が疑われます 。また、味が分からなくなる味覚障害や、舌がもつれて言葉がうまく出ない発語障害も、心の異常から生じている可能性があります 。
精神に現れる変調
心には、精神や意識を司る最高位の神である「神志」が存在すると考えられています 。心が変調すると、この神志が正常に機能しなくなり、心や意識に乱れが生じます 。
- 意識と記憶の障害: 正しく考えたり、判断したり、記憶したりすることが困難になります 。物忘れが増えたり、物事を覚えられなくなったりします 。
- 情緒の不安定: 常にそわそわして落ち着きがなくなります 。ひどくなると、狂躁状態や昏睡状態に陥ることもあります 。
- 睡眠の質の低下: 心の活動のリズムが崩れると、休むべき時に神経が休まらなくなります 。夜になっても寝つけず、眠っても夢を多く見て眠りが浅くなるため、十分な睡眠が取れません 。
喜びと心の関係
心は喜びの感情と深く関わっており、適度な喜びは心や血の流れに良い刺激を与えます 。しかし、喜びすぎると、かえって心を病ませてしまうこともあるため注意が必要です 。





















