今回のキーワード「熱と汗」
東洋医学の問診は、現在の症状のもならず、既住症やふだんの生活の状態まで質問をする。些細な症状でも大事な情報となり得る。
患者とじつくり話をする間診
問診とは、医師が患者 に質問をして、病気の症状や原因、本人の体質などの情報を集めることをいう患者のようすを観察しながら、寒けがする、熱っぽい、頭や腹が痛い、食欲がないなどの症状をたずねていく。おもな症状がわかってきたら、さらに掘りさげていく。たとえば、単に「頭が痛い」ではなく、どの部分がどのように痛むのかを具体的に聞く。症状を自覚した時期、経過、これまでの治療、思い当たる原因なども必要な情報である。暑がりか寒がりか、汗をかきやすいか、 冷えやのぼせがあるか、 どんなときに症状が悪化するか (季節や天気、ストレス、女性では月経 との関係)、 食欲の有無、便通の状態、よく眠れるか、胃腸は丈夫と思うか、ストレスを感じているかなど、現在の病気とは関係がないと思われることもたずねる。これまでにかかったことのある病気やアレルギー、生活習慣、食べ物の好み、タバコや酒の摂取量など、ふだんの生活のようすや体調も問診の対象となる。病院によっては、質問項目をまとめた問診表が用意されている場合もある。
熱と汗 の 症 状 一 寒 熱 と 汗
かぜ をひいたかなと自覚する症状で多いのが、ぞくぞくと寒けを感 じる悪寒だろう。悪寒 を感じてすぐ熱を計っても、平熱であることも多い。しかし東洋医学では、熱が上がっていなくても、全身が熱っぽい、頭などからだの一部が熱いと感じるだけでも、発熱という症状になる。悪寒と発熱を東洋医学では寒熱という。寒熱の間診では、悪寒と発熱が同時におこるか、それぞれが単独でおこっているかをはっきりさせる必要がある。かぜをひいて1~ 2日たつと熱がでて、悪寒と発熱が同時におこる。体力がない人や高齢者では悪寒だけを感じ、熱があまりでないことが多い。寒熱と密接 に関係するのが汗である。かぜをひいて、悪寒と熱があるのに汗をかかない ときは、寒邪におかされていると考える。体力がある人がかぜをひいたときも汗をかきにくい。反対に、悪寒も熱もあり、汗をかくのは、風邪がからだに侵入した、一般的なかぜととらえる。体力がない人のかぜに多い。悪寒や熱をともなわない汗は、体調不良や内臓に疾患 がある場合が多い。過労や慢性病で全身の機能が低下 していたり、肺が弱っていると汗をかきやすくなる。 現代医学では発熱パターンを分ける方法がある。弛張熱は敗血症などにみられ、 1日の熱の上下が 1度以上で平熱にならない。稽留熱は腸チフスなどで38度ほどにとどまる。
熱と汗の症状
東洋医学では、悪寒や熱、汗を、状態や組み合わせでパ ターンに分ける。パターンから、病気の原因である外邪の種類や、正気と邪気の状態がわかるので、からだの状態を知ることができる。
■ 外邪の種類
- 悪寒が強く発熱が軽い 悪寒が強く発熱が軽い風邪と寒邪による一般的なかぜが多い。
- 悪寒 が軽く発熱が強い 風邪に熱邪 (火邪の弱いもの)が加わって、発熱したと考えられる。
■ 正気と邪気の状態
- 悪寒も発熱も強い 強い邪気に、正気が激しく抵抗している実証と考えられる。
- 悪寒も発熱も軽い 正気も邪気も弱いと考えられる。あまり抵抗できない。
■悪寒がない熱
- 壮熱 高熱が続く。風邪や熱邪がからだの深い部分に侵入したとされる。
- 陰虚内熱 午後か夜に発熱。寝汗、ほおが赤い、のどが渇くなどの症状がでる。
- 湿温潮熱 午後になると熱が上がる。皮膚に触れて、しばらくすると熱を感じる。手足が重く、舌に苔が多い。
- 陽明潮熱 午後4時ころに熱が上がる。胃と腸に熱がこもっているとされる。腹痛や手足の汗、舌にとげがみられる。
■汗
- 自汗 何もしなくても汗が出る。気が不足し、息切れもともなうことが多い。
- 盗汗 浸汗のこと。陰虚にみられやすい。不眠、ほおが赤い、のどが渇くなども。
- 頭汗 頭にだけ汗をかく。からだの上のほうに熱や湿がこもっていることが多い。
豆知識 間欠熱はマラリアなどにみられ、 1日に平熱近くに下がったり発熱したりする。波状熱はブルセラ症やホジキン病などで、平熱と発熱が周期的にくりかえされる。
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