東洋医学では、私たちが毎日食べているものと、病気を治すための生薬(漢方薬の原料)は、もともと同じ源流から生まれたと考えられています。これを薬食同源と呼びます。
簡単に言えば、食事は体を作る薬であるという考え方です。ここでは、日々の食事で体調を整えるために知っておくべき五性と五味について解説していきます。
1. 五性:食べたもので体温を調節する
五性とは、食べ物が食べた後に体の中でどのような変化をもたらすか、つまり体を温めるか、冷やすかという性質のことです。
- 寒・涼(かん・りょう): 体の熱を冷ます性質です。夏が旬の野菜(キュウリ、トマト、スイカなど)に多く、体のほてりや炎症を抑えます。
- 温・熱(おん・ねつ): 体を温める性質です。冬が旬の野菜や、ニンニク、ショウガ、肉類に多く、冷え性や代謝の低下を改善します。
- 平(へい): 体を温めも冷やしもしない、中立的な性質です。毎日の食事のベースにするのが理想的です。
☆ポイント☆ 冷えが強い人は温める食べ物を、のぼせや炎症がある人は冷やす食べ物を意識することで、体調をコントロールできます。また、冷える食べ物でも加熱調理(煮る・揚げる)をすることで、性質を「温」に近づけることができます。
2. 五味:味にはそれぞれの効能がある
東洋医学では、食材の味(五味)にはそれぞれ独自の役割があり、特定の臓器に働きかけると考えられています。
| 味(五味) | 主な役割(効能) | 対応する臓器 |
| 酸(すっぱい) | 汗や水分が漏れ出るのを抑え、引き締める | 肝(かん) |
| 苦(にがい) | 余分な熱や湿気を取り除く | 心(しん) |
| 甘(あまい) | 体に栄養を与え、痛みや緊張をゆるめる | 脾(ひ) |
| 辛(からい) | 体の巡りを良くし、発汗させて邪気を追い出す | 肺(はい) |
| 鹹(しおからい) | しこりを柔らかくし、便通を整える | 腎(じん) |
3. 私たちが食医になるために
かつての中国では、皇帝の健康を守る食医という専門家がいました。現代の私たちも、自分の体調に合わせて日々の献立を工夫することで、病気を未然に防ぐ未病のケアが可能です。
- 冷え性の人: 温・熱の性質を持つ食材を積極的に選び、生野菜よりも加熱した料理を中心にする。
- 疲れや貧血気味の人: 甘の性質を持つ食材(穀物や豆類)で栄養を補う。
- 風邪の引き始め: 辛の性質を持つネギやショウガで汗を出し、外からの悪い気を追い出す。
薬膳というと難しく聞こえますが、本質は「自分の体調に耳を傾け、今の自分に必要な性質や味を持つ食材を選ぶ」というシンプルな習慣です。今日の夕食から、今の自分の体調に合った食材を一つ選ぶところから始めてみてはいかがでしょうか。




















