坐骨神経痛の患者様が当院を訪れる際、皆様一様に「腰や足が痛い」とおっしゃいます。診断する際、見ているのは「痛みという現象」ではなく、「なぜ、その神経が悲鳴を上げなければならなかったのか」という全身の循環不全です。
1. 骨盤内の「瘀血(おけつ)」が痛みを生むメカニズム
坐骨神経痛の多くは、腰椎からお尻にかけての神経の通り道が圧迫されて起こります。しかし、その「圧迫」の正体は骨の歪みだけではありません。
私が腹診で特に注目するのは、骨盤内(下腹部)の冷えと硬結です。このエリアに触れた際、奥に抵抗感(硬さ)を感じる場合、それは骨盤内の血流が滞り、新鮮な酸素や栄養が神経に届いていないことを示唆します。
これが漢方でいう**「瘀血(おけつ)」**の状態です。古い血液が骨盤内に停滞することで、神経の通り道が物理的に狭まり、周囲の筋肉を過剰に緊張させ、結果として坐骨神経痛という症状を形作っているのです。
2. 「舌」が語る身体内部の信号
骨盤内の血流状態を客観的に判断するツールとして、私は「舌診(ぜつしん)」を重視しています。
患者様の舌の裏側を見せていただくと、骨盤内に瘀血がある方は、静脈が太く怒張(どちょう)していたり、舌全体が暗紫色を帯びていたりすることがあります。これは、体内の血液が「巡るべき場所」で滞っていることを示す、身体からの明確なサインです。
患部を強く揉むだけでは、この「根本的な滞り」は解決しません。私は、腹診で硬い場所を緩め、鍼灸の刺激で全身の血流の「質」そのものを変えていくアプローチをとります。
3. 【臨床知】坐骨神経痛を悪化させる「3つの勘違い」
臨床において、患者様が「良かれと思って」続けている習慣が、逆に神経の回復を阻害しているケースを多く見てきました。
- 「姿勢を正す」ことの弊害: 意識して背筋を伸ばすと、腰椎が前弯し、神経の出口を物理的に狭めます。身体が求めているのは「脱力」であり、膝を曲げ、地面からの反力をうまく逃がす自然体です。
- 「水分摂取」の罠: 1日2リットルの水分補給を推奨されることがありますが、胃腸が冷えている状態で過剰な水分は「水毒(むくみ)」となり、骨盤内の血流をさらに悪化させます。
- 「温活」の誤解: 患部を過度に温めるだけの温活は、循環のメカニズムを無視し、逆に炎症を長引かせることがあります。
坐骨神経痛は、身体が発している非常に強いメッセージです。 当院では、あなたの身体がなぜその痛みを必要としているのかを解明します。































