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可視総合光線療法

(13)ビタミンDの重要性

ビタミンDは、光線(紫外線)の助けをかりて皮膚で生産され、肝臓や腎臓で代謝を受けて活性型のビタミンDとなり、カルシウムの吸収など種々の作用を行います。生体に自然に備わっているこのビタミンD産生メカニズムは、薬剤のような人工的なものではなかなか代償できないものです。可視光線療法によって、この生体の自然なメカニズムを最大限活用することが大事です。

活性型ビタミンD剤と可視総合光線療法

活性型ビタミンDは、化学的に合成され、薬剤として骨粗鬆症、肝臓疾患、腎臓疾患の患者に使用されるようになってきました。また、魚類などの食物からもビタミンDは摂取することができます。そのため、ビタミンDは薬剤や食物から十分に補給することができるので、光線によって皮膚で産生されるビタミンDはあまり重要でないかのようにいわれています。しかし、薬剤としてのビタミンDには、副作用の問題があり、また後述の研究などから、私たちのからだに自然に備わっている皮膚におけるビタミンD産生メカニズムの重要性を無視するわけにはいきません。可視総合光線療法を行うことで、家庭において太陽光と同種の連続光線を利用し、かんたんで安心な生体におけるビタミシD産生メカニズムを活用することができます。

女性はビタミンD不足になりやすい

現在の社会は日光にあたる機会が少ない環境であり、また食生活も大きく変化して魚類の摂取量は以前と比較して少なく、特に若年者でその傾向があります。女性は日常日光にあたる機会が少ない上に、化粧品(紫外線カット)の使用によって日光にあたることがますます少なくなり、さらに魚を食べることも少なくなってきているため、血中ビタミンD濃度が低くなることが心配されています。事実、神戸薬科大学の小林正教授が行った20歳代から50歳代の男女の血中ビタミンD濃度を測定したデータでは、女性はいずれの年代においても男性に比べ血中ビタミンD濃度は低く、特に20歳代ではその低下が著しかったと報告されています。このような研究以外にも、日にあたることの重要性を示す研究があります。

潜水艦の乗組員の血中ビタミンDの低下

日光に全くあたる機会がない原子力潜水艦の乗組員におけるビタミンDの変化を測定したプリースらのデータによると、2カ月間の航海で血中ビタミンD濃度の平均値は13.7±1.lng/mlから7.9±1.2ng/mlと半減してしまいました。潜水艦は日常生活とは異なる特殊な生活環境であり、乗組員の体力の消耗は激しいといわれています。そのため、食事はカロリーや栄養素には十分な配慮がされています。実は、この航海中もビタミンDの豊富な食事が出されていました。それにもかかわらず、血中ビタミンDの濃度は低下してしまったのです。このことは、血中ビタミンDの濃度を維持するためには、日光によって皮膚で産生されるビタミンDが重要であることを示しています。

長期入院の高齢者はビタミンD濃度が低い

日にあたることが少ない環境は潜水艦の乗組員だけでなく、長期に療養している入院患者のようなケースでもみられます。英国における65歳以上の高齢者を対象としたコーレスらの研究では、全く日にあたらない寝たきり老人の血中ビタミンD濃度は平均1.3ng/mlと極端に低く、時々日にあたる老人のそれは平均4.3ng/mlであり、どちらも若年者の平均22.8ng/mlと比較してかなり低い結果でした。しかし、それでも寝たきり老人よりは高い数値でした。このように、長期入院中の高齢者、特に寝たきりの状態では日にあたる機会が少なく、また食事の摂取も少ないため(食事性ビタミンD不足)、血中ビタミンD濃度はかんたんに低下することがわかります。また、高齢者は皮膚で産生されるビタミンDの効率が悪くなることも影響するといわれています。また、このビタミンD不足を補うためにビタミンDの薬剤を投与するにしても、高齢者の場合は吸収能力が低下しているため、大量に投与しなければなりません。そのため、薬剤の副作用の危険性も大きくなります。入院患者や高齢者のビタミンD低下は、英国の他に米国、日本、ドイツ、イスラエル、デンマークなどで多くの報告があります。

夜間作業者の潜在的ビタミンD不足

皮膚で産生されたビタミンDはそのままではビタミンとしての働きはありません。ビタミンとしての働きを発揮するには、肝臓や腎臓で代謝されて活性化されなければなりません。したがって、肝臓や腎臓の臓器の働きが悪ければビタミンD活性化の効率は低下することになります。長崎大学の桐山先生はアルコール性肝硬変症の患者が、夜間バーテンダーの仕事に従事し、長年日にあたらない生活を続けて、骨軟化症(くる病)による骨折を起こした症例を報告しています。慢性の肝臓障害では、ビタミンD濃度が低下することはありますが、骨軟化症になる例は少ないとされています。この例では、調査した食事中のたんぱく質、脂質、ビタミンDが極端に少ないとは考えられず、骨軟化症まで起こした病態は、日にあたらない長年の生活に肝障害によるビタミンD活性化の予備能低下が加わったことが原因で生じたと考えられます。このように、昼間は就寝し、夜間に仕事をする人で、特に肝臓や腎臓が悪い例では、潜在的なビタミンD不足の危険性が高いと思われます。以上のような研究結果をみると、日光や可視総合光線療法の重要性について、今一度考え直す必要があることに気づきます。

健常者の血中ビタミンD

ビタミンDには、D₂とD₃の2種類があり、D₂は植物や市販の総合ビタミン剤から摂取でき、D₃は皮膚で産生されたり、魚類に多く含まれています。日本人の健康な人を対象にしたビタミンD濃度の測定調査によると、血中ビタミンDのほとんどはD₃であり、D₂は約18%の人にしか認められませんでした。しかもその濃度は、非常に低い値でした。太陽光線が強い夏季にビタミンD₃は高い値を示しますが、この時期に限ってビタミンD₃を多く含む食物を食べる習慣は私たち日本人にはありませんから、ビタミンD₃の必要量は、食事からではなく、日照によってほとんど供給されていることがわかります。ところで、医師が処方する活性型ビタミンD₃剤には、別表のように副作用があります。これらの副作用は、主に、ビタミンD₃剤による高カルシウム血症に基づくものです。ビタミンDは水溶性ではなく体内に蓄積されやすいため、ビタミンD過剰の中毒症状は、半年から1年にも及びます。そのため投与量の調節は、専門医によって注意深く行われる必要があります。一方、日光や光線療法による自然なビタミンDの産生では、生体の調節機構によって、過剰になることはありません。以上のことから、生体に自然に備わっているメカニズムは人工的なものではなかなか代償できないことが示唆され、生体にとって光により皮膚で産生されるビタミンDの重要性が再認識させられます。したがって、日常生活では、皮膚でのビタミンD産生という自然に存在する生体メカニズムを上手に活用することが非常に大切です。特に、ビタミンDの代謝経路に関係する肝臓、腎臓の病気や寝たきりの状態が長く続くとき、また、ビタミンD産生が低下する高齢者は、可視総合光線療法によって生体のもつビタミンD産生メカニズムを積極的に利用することが大切となります。

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