長崎市で本格的な東洋医学の鍼灸治療を受けられる鍼灸整骨院|初めてでも安心

長崎市で本格的な東洋医学の鍼灸治療を受けられる鍼灸整骨院として定評があります。

WEB予約
LINE予約
診療案内
アクセス
コラム
おしらせ
東洋医学について

22 肝の変調と全身への影響

東洋医学において、「肝」は現代医学の肝臓という臓器の機能だけでなく、より広範な生命活動を司る概念として捉えられます。その核となる機能は、「疏泄(そせつ)」と「蔵血(ぞうけつ)」の二つです 。これらの機能が失調することで、全身の気・血・津液の流れ、そして心身の安定に甚大な影響を及ぼします 。


1. 疏泄機能の失調:気の流れと感情の乱れ

「疏泄」とは、気の動きを調整する機能を指します 。肝が変調し、この疏泄機能が滞ると、気が正しく流れなくなると考えられます

気・血・津液の停滞

  • 気の停滞: 気が流れなくなると、その結果として血と津液の流れも滞ってしまいます 。
  • 血の停滞(瘀血): 血の流れが停滞すると、血がドロドロにたまり、「瘀血(おけつ)」と呼ばれる病態が生じます 。
    • 女性においては、瘀血は生理不順月経痛として現れやすいとされます 。
  • 津液の停滞(湿・痰): 津液が滞り汚れた水は「水湿(すいしつ)」となり、サラサラした水湿が「湿(しつ)」、ドロドロした水湿が「痰(たん)」となります 。
    • 湿や痰が形成されると、呼吸器系の症状(咳や痰が絡むなど)が現れやすくなります 。

情動と消化器系への影響

  • ストレスへの脆弱性: 疏泄はストレスに非常に弱いと考えられています 。
  • 消化器系への波及: 疏泄がうまく働かないと、肝だけでなく脾胃にも影響が及びます 。
    • 緊張時の胃痛は、疏泄の不調が胃に伝わった結果であり、下痢は脾に伝わった結果と考えられます 。
    • 重度のストレスによる疏泄異常が改善されない場合、胃・十二指腸潰瘍を引き起こす可能性もあります 。
  • 感情の調節: 疏泄は感情も調節しており、不調は気持ちの乱れに直結します 。
    • 疏泄の低下: 機能が不十分な場合、気持ちが落ち込み、抑うつ感不安が強くなります 。
    • 疏泄の亢進(過剰): 機能が過剰になると、イライラして周囲に当たり散らす状態になりやすくなります 。肝は怒りの感情と強く結びついており、激しい怒りは疏泄を過剰に機能させることがあります 。

2. 蔵血機能の失調:血の貯蔵と供給の破綻

「蔵血」とは、血を貯蔵し、必要な器官や組織に出ていく血の量を調節する機能です 。この機能の失調は、「血の不足」と「血の過剰(溢出)」という、相反する二つの病態を引き起こします

血の不足と過剰

  • 血の不足: 肝の変調で血が不足すると、必要な器官や組織が働かなくなります 。
  • 血の過剰(溢出): 貯蔵できなくなると、肝から血があふれて出血しやすくなります
    • 皮膚に**赤い斑点(皮下出血)ができたり 、月経が長引く、経血量が増えるといった女性の症状が現れます 。

筋・爪・目への影響

肝は、筋(腱・靭帯・筋膜)と強いかかわりを持つとされます

  • 筋への影響: 筋は肝の血から栄養を得ているため 、蔵血機能が失調して血が不足すると、しびれふるえが出ます 。また、筋が弱るためけがをしやすいともいわれます 。
    • (補足:東洋医学では、筋肉のうち筋膜・腱・靭帯を「筋」と呼び、やわらかい肉の部分を「肌肉(きにく)」と区別します 。)
  • 爪への影響: 爪にも異常が出やすく、変形したり、すじができたり、色がおかしくなるといった症状が現れます 。
  • 目への影響: 目を酷使すると肝の血を多く使うため 、血が足りなくなると目に栄養が回らず、目のかすみ視力低下が生じます 。眼精疲労は、肝の変調が原因であることも少なくありません 。

3. 肝と胆の深い関係

肝は胆(たん)とも密接に関連しています 。

  • 胆汁の生成と消化: 肝の気が集まったものが胆汁となり、胆に貯蔵された後、小腸に分泌されて消化を助けます 。そのため、肝の調子が悪くなると胆汁の分泌に異常がおこります
  • 意識活動と決断力: 胆と肝は意識活動にも強く影響します 。東洋医学では「肝は謀慮(ぼうりょ)をつかさどる」(考えをめぐらせる)、「胆は決断をつかさどる」(決断をくだす)とされ、胆が弱ると決断力が乏しくなると考えられています

まとめ

東洋医学における「肝」は、気の調整(疏泄)、血の貯蔵・供給(蔵血)という極めて重要な役割を担っており、その変調は、情動の不安定化、消化器系の不調、血液・体液循環の異常(瘀血・湿・痰)、さらには筋骨・視覚機能の低下に至るまで、全身に複雑な症状を引き起こします。

関連記事

PAGE TOP