東洋医学の診断(弁証)とは、四診で得た情報を整理し、病理の本態を突き止めるプロセスです 。基本となる八綱弁証(表裏・虚実・寒熱・陰陽)を軸に、実際の症例を解説していきます。
1. 急性呼吸器症状:表実寒証(肺)
【症例】17歳女性。激しい咳、悪寒、発熱、薄い鼻水、白い痰、汗なし。脈は浮緊。
- 判定: 悪寒・発熱・浮脈から「表証」 、汗がなく正気が強いため「実証」 、白い痰や舌苔から「寒証」と診断します 。
- 病態: 外邪(寒邪)が体表から侵入し、肺の呼吸機能を阻害しています 。
- 処方・治療: 三拗湯合止嗽散を用い、合谷や大椎などのツボを刺激します 。
2. 慢性的な耳鳴り:裏虚平証(脾胃)
【症例】28歳女性。半年続く耳鳴り、疲労感、食後の腹部膨満、軟便、顔色が黄色い。
- 判定: 外感症状がなく内臓の不調であるため「裏証」 、無力感や耳の空虚感から「虚証」、冷えや熱の偏りがないため「平証」とします 。
- 病態: 消化器系(脾胃)が弱まり、気血を頭部へ昇らせる力が不足している「気血両虚」の状態です 。
- 処方・治療: 脾胃を強める人参養栄湯を処方し、百会や足三里などのツボを併用します 。
3. 不眠とめまい:裏実熱証(心・脾・胃)
【症例】48歳男性。不眠、多夢、飲酒後の胸苦しさ、めまい。舌は紅、苔は黄。
- 判定: 内的な精神・消化器症状のため「裏証」 、舌苔の粘りから「実証」、舌や脈の状態から「熱証」と判断します 。
- 病態: 飲酒・喫煙により体内に「痰熱」が停滞 。これが精神(神志)を乱して不眠を招き、中焦の気を塞いでめまいを起こしています 。
- 処方・治療: 黄連温胆湯で熱を除き、豊隆や神門などのツボで気を整えます 。
◎このように弁証論治は、病変の部位(臓腑)と、そこで何が(気血津液)どのように乱れているか(八綱)を総合的に判断し、最適な治療法を導き出していきます。
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