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永田先生のコラム

<雑誌掲載>連載コラムVol.46 東洋医学や「気」ってなーに?

「東洋医学と西洋医学の違いは何ですか?」とよく質問されます。
一般的には西洋医学は薬物療法、東洋医学は非薬物療法、、そして漢方薬は西洋薬よりも穏やかで長期服用に適している、というイメージを抱かれているようです。
東洋医学を実践的に治療で用いている私は、それとは違った視点を持っています。
私の考えでは、西洋医学は治療効果の科学的根拠に基づいて発展してきた医学であり、東洋医学は、理由はどうあれ効果のある治療法であれば良しとして発展した医学と見ています。

ところで「東洋医学」という言葉は本来、アジア全域の伝統医療を指しますが、私たち日本人に一番身近なのは中国医学(中医)です。中医からは、漢方薬、薬膳、鍼(はり)、灸、按摩といった多様な治療法が生まれました。
中医を理解する上で、「気」は避けて通れません。「気」の存在自体については様々な議論がありますが、ここでは一旦その是非は問わず、私は「気」という概念が中医の発展に大きく寄与したと考えています。
中医の始祖は、偶然、岩に体のある部位ぶつけてしまったところ、体の不調が治ったそうで、これがいわゆる「ツボ」の発見であり、中医の治療への扉を開く鍵となりました。
ここからは私の推察ですが、「なぜツボを刺激すると体調が良くなるのか?理由は分からないが、何かが通じているに違いない。それを『気』と名付けよう。ツボから『気』が伝わり、効果を発揮しているのだ」と。つまり、原因と結果さえあれば、その間のメカニズムが不明瞭でも、「気」という仮説を立て、それを足掛かりにどんどんツボを見つけていって、治療法を発展させていったのです。
その後、多くのツボが発見されていくなかで、ツボやその原因と結果、そして気などに共通点が見い出され、それが中医として体系化(理論として組みあがって)されていったのだと思います。
そしてこの中医の興りの流れは、占いがルーツの易経と合流します。易「易経」とは、陰陽五行論に代表される、人間界から宇宙まで、森羅万象を体系的に分類する思想であり、哲学であり、学問です。体系化が進んでいたツボの理論は、易経、特に陰陽五行論に基づいて整理され、更なる発展を遂げました。

驚くべきことに、この陰陽五行論は、現代においても驚くほど的確に人体を読み解くことができます。実際、私自身、中医学に基づく治療を行う上で、陰陽五行論は欠かせない基礎理論となっています。二千年以上の長きにわたり、中国の歴代王朝の下、数多の天才たちが積み上げてきた理論は、その過程がどうあれ、現代においても揺るぎない価値を持つと私は確信しています。
しかしその一方で後世に、誤解を生みやすく、人を惑わすことになるのもこの陰陽五行論だと思います。本来、治療で重要なのは、「このツボにはこういう効果があ」という原因と結果の関係性だったものが、陰陽五行論が独り歩きして、まるで占いのように「あなたの体は陰陽五行論ではこのように分類されるから、その表に当てはまるこれをするといい、飲むといい、食べるといい。」というような理論先行型の用いられ方が現代では多く見受けられます。むしろこうした用いられ方が主流と言えるかもしれません。

中医は、詳細なメカニズムの解明は後回しにし、国中から原因と結果をたくさん集めていくという仕組みで、幅広い治療を可能としました。
しかし、西洋医学のように医師や大学などの明確な権威が存在しないため、発信源が不明瞭な情報が真実のように広まってしまい、誰かがSNSで発信した情報を鵜呑みにしてしまう人が後を絶ちません。

人はなぜ超能力を信じるのか。それは観客が途中のトリックを見破れないときに、演者がそのトリック部分を超能力や神がかり的な力として説明するからです。
東洋医学、そしてその術者において、残念ながらそのような場面が散見されます。
中医の不思議と思われる治療方法でも、必ず西洋医学が証明できるような科学的な仕組みがあるはずです。私は理系ですので、治療のメカニズムをなんとなく「気」のおかげのままにはしておけず、医学的に何が起こっているのかを徹底的に探求します。その結果、現在では、いわゆる東洋医学的な治療法の多くを、医学的見地から説明できるようになりました。私の治療院には、ガンを患っている患者様や医療関係者の方もお見えになられます。深刻な悩みを抱える患者さんを前に、「気」の問題だけで説明を終わらせることはできません。同じ目線で、医学的な根拠に基づいた説明を行う。その責任感が、私なりの中医の解釈と使い手へと確立させました。

東洋医学(中医)の優れているのは、「未病を治す」と象徴されるように、身体のわずかな変化から病気の兆候を読み取ることができるのです。

例えば口が乾くという症状から、体の臓器の不調を察知できます。「〇〇の臓器が弱っていますね」と伝える、「健康診断ではどうもないんですが」と返答されることがよくあります。検査で異常が見つかるのは、例えるならテストで赤点を取って初めて自分の実力不足に気づくようなものです。

近年、テレビで東洋医学の特集が組まれたり、SNSで関連情報が盛んに発信されたりするなど、東洋医学への関心はますます高まっています。今後、東洋医学はさらに普及していくことでしょう。そのような時代だからこそ、私が今日お伝えしたことが、皆様が情報に惑わされず、本質を見極めるための灯台となることを心から願っています。

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