WHO(世界保健機構)の推計によると、人口の3~5%はうつ病にかかっているということです。つまり、全世界では1~2億人、わが国では360万~600万人もの人がうつ病にかかっていることになります。うつ病の増加の原因として平均寿命の延長、産業における高度の技術化、熾烈な競争社会などのほかに、生活習慣病(成人病)、老年病にともなううつ病の出現やうつ病診断の知識や技術が向上したことなどが考えられます。
仮面うつ病
全身の倦怠感があったり、疲れやすい、頭が重い、眠れないなどの症状があるとき、心の病気ではないかと考える人はあまりいません。しかし、細かく調べてみると、気分がのらない、気持ちが浮かない、気力がわかない、落ち着かない、先行きのことが心配など、うつ病の精神症状が背後に隠れていることが少なくありません。こういったケースを身体症状という「仮面」をかぶったうつ病、つまり仮面うつ病と呼んでいます。
うつ病の身体状態
うつ病の特徴的な身体症状のひとつが睡眠障害です。早朝(午前3~4時)に目覚め、その後一睡もできないなどと訴えます。一般に、全体の睡眠時間が短くなり、また深い眠りが失われ、浅い眠りが不安定に続きます。夢をよく見ますが、途中で目が覚めてしまいます。朝の日覚めは悪く、それが、夕方頃まで続くことが多いのが特徴です。次に全身倦怠感や疲労感、無力感が目立つようになり、食欲も低下、食べても味がしない状態が続き、体重が減少して便秘になりやすくなります。体力とともに性欲もなくなり、男性はインポテンツ、女性は生理不順、無月経になりやすくなります。また、からだのいろいろな部位の痛みが現れやすくなります。そのほか、頭が重い、めまいがする、動悸がする、肩こりがひどいなどの症状もみられます。
うつ病の精神症状
上記のような身体症状の背後には、次のような精神症状が認められます。1つ目は「憂鬱」です。気が滅入ったり、涙もろくなったり、些細なことにくよくよしたり、将来に希望を持てなかったり、一人でいると心細かったりします。2つ日は「億劫」です。これは、意欲の低下により、仕事がうまくいかなかったり、外出を避けたり、日常の関心事に興味がわかなかったりします。3つ目は「イライラ」です。イライラして落ち着かず、あせりや不安感が目立ちます。うつ病の病前性格は、その特徴として真面目人間で、社会的適応性も良好なタイプといえます。このようなタイプは、社会的地位も高く、几帳面で律儀、仕事熱心で義務感、責任感が強いのが一般的です。うつ病の原因は、遺伝要因や脳内アミン代謝異常などが推定されていますが、まだ不明な点が少なくありません。うつ症状は、いろいろな病気にともなってみられます。日常よく知られた病気も多く、中でも感冒やインフルエンザなどの感染症が、うつ病を悪化させたり、治りを悪くしたりします。また、女性では出産や手術が契機となってうつ病になることが少なくありません。薬剤によっても、うつ症状が引き起こされることがあります。よく知られているのが高血圧治療の薬やネフローゼ症候群、気管支喘息、膠原病などの治療に使われる副腎皮質ホルモンなどの薬でうつ病を起こしやすいといわれています。
うつ病の治療
前述の身体症状や精神症状のいくつかは、だれでも思いあたる症状です。また、働き盛りの年代は、生活習慣病(成人病)などいろいろな病気になりやすい時期でもあるので、からだの調子が悪いときは、自分自身で診断せずに、生活習慣病(成人病)検診を含め、医師の診察を受けることが大切です。うつ病は、長年にわたる不適切な生活習慣の歪みや、ライフスタイルの歪みに基づいて、発症・悪化することが多いので、生活習慣を改善することもうつ病治療によい影響をもたらします。日常生活のあり方を再点検し、ライフスタイルの問題点を修正して、ストレスを上手に処理することが大切です。
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