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30 不内外因が人体に及ぼす病理作用

東洋医学の病因論における重要な概念の一つ、「不内外因(ふないがいいん)」について、その詳細と現代的な意義を深く掘り下げて解説してまいります。不内外因とは、病気の原因を自然環境の変化とする「外因」と、過度な感情の変動とする「内因」のいずれにも属さない、第三のカテゴリーに位置づけられる病因群です 。これには、働きすぎや食べすぎ、あるいは不慮の怪我などが含まれます 。

1. 労逸(ろういつ):過剰な活動と過度な安静がもたらす病理

不内外因の筆頭に挙げられるのが労逸です。これは、からだを動かしすぎる「労倦(ろうけん)」と、休みすぎる「安逸(あんいつ)」の組み合わせであり、どちらに偏っても病気につながるとされます

A. 労倦(過労)による気の消耗

疲労を表す労倦には、肉体的な酷使、精神的な負担、そして節制のない性生活の三つが含まれます

  1. 労力過度(ろうりょくかど):仕事や勉強などで長期間にわたり肉体を酷使し、疲弊させる状態です 。
  2. 心労過度(しんろうかど):長時間考え込んだり、悩み続けたりすることで精神的に疲れてしまう状態です 。これが過度になると、心と脾の変調を招き、心に宿る「神(しん)」が弱ることで、不眠、動悸、食欲不振、下痢などの症状を引き起こします 。
  3. 房事過度(ぼうじかど):節制のない性生活を続けることを指します 。これは腎精(じんせい)を消耗させ、腰や膝の衰え、耳鳴り、めまい、遺精、閉経などの症状につながります 。

これら肉体と精神の過度の疲労は、共通して気(き)を消耗させるという病理を持ちます 。消耗した気を適度な食事や休息で補わないと、全身の気が不足し、病気を引き起こします

B. 安逸過度(あんいつかど):不動による気血の停滞

労倦とは反対に、部屋に引きこもって動かない、あるいは寝込んでいるなど、からだを動かさない時間が長い状態を安逸過度と呼びます 。からだを動かさないと気と血のめぐりが悪くなり、体内のあちこちで気や血が停滞し、組織や全身の状態が悪化します 。その結果、無力感や食欲減退、病気にかかりやすくなるなどの症状につながります

また、特定の動作だけを長期にわたって続けることも病気の原因となります。これを五労(ごろう)と呼び、長時間目を使う久視(きゅうし)、横になる久臥(きゅうが)、座る久座(きゅうざ)、歩く久行(きゅうこう)、立つ久立(きゅうりつ)の五つが、特定の組織や臓

腑に悪影響を与えるとされています 。

2. 飲食失節(いんしょくしっせつ):不適切な食習慣

飲食における節度が失われることを飲食失節といい、これも重要な不内外因です

  1. 飢飽失常(きほうしつじょう):食べる量が少なすぎる、または食べすぎるの状態を指します
    • 食事が少なすぎると、気・血・津液(しんえき)・精(せい)を十分に生成できず、栄養失調や正気(せいき)の不足、抵抗力の低下を招き、様々な病気を引き起こします
    • 一方、暴飲暴食は胃と脾に過大な負担をかけ、消化しきれないものが停滞します
  2. 飲食不潔(いんしょくふけつ):不衛生な飲食物を摂取することです
  3. 偏食(へんしょく):特定の飲食物に偏ることです 。たとえば、からだを冷やすものばかり食べると、寒邪(かんじゃ)をからだに取り込むことと同じになり、陰陽のバランスを崩します 。冷たいものの食べすぎは陽気を減少させ下痢を招き、辛くて熱いものの食べすぎは胃腸に熱がこもり出血を招くことがあります

3. 外傷(がいしょう):物理的な損傷

外傷(がいしょう)も不内外因に含まれます 。打撲、捻挫、骨折、切り傷、虫刺され、やけど、凍傷など、物理的な損傷全般を指します 。外傷の病理的な特徴は、負傷後に体内で血が停滞しやすくなる(瘀血)という点です 。

4. 痰飲(たんいん)と瘀血(おけつ):体内の病理的な産物

最後に、体内で生成された病理的な産物自体が病因となるケースが存在します 。それが痰飲(たんいん)瘀血(おけつ)です。

  1. 痰飲(たんいん):津液(体液)のめぐりが悪く、体内に停滞することで生じます 。
    • 比較的水っぽいものが飲(いん)、粘っこいものが痰(たん)と区別されます 。
    • 痰には、気道から出る目に見える有形の痰と、臓腑や経絡中に停滞する無形の痰があります 。東洋医学では、原因不明の病気の多くは、この無形の痰から生じると考えられています 。
  2. 瘀血(おけつ):血のめぐりが悪く、体内に停滞することで生じたものです 。

これら痰飲や瘀血は、直接的または間接的に臓腑や組織に作用し、病気を引き起こす二次的な病因として極めて重要です


不内外因は、現代社会における生活習慣病やストレス関連疾患を考える上で、非常に示唆に富む概念です。過労、食生活の乱れ、運動不足、そして体内に生じた病理的産物としての痰飲・瘀血。これらはすべて、我々の日常的な選択と深く関わっており、このバランスの崩れこそが病の原因であるという東洋医学の洞察は、予防医学の観点からも再評価されるべきでしょう。

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