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3 望診と聞診による生体情報の多角的解析

医師の五感を駆使して患者の状態を把握する「四診」は、客観的かつ総合的な病態分析(弁証)の基礎となるものです。今回はその前半段階である「望診(視覚的観察)」と「聞診(聴覚・嗅覚的観察)」に焦点を当て、それらがどのように内部臓腑の状態を鏡のように映し出すのかを紐解いていきます。

1. 望診:外見に現れる内部環境の動態

望診は、患者が診察室に足を踏み入れた瞬間の挙動から開始される、極めて高度な視覚診断技術です 。医師は、患者の体型、姿勢、歩き方といった全身の動態に加え、肌のつや、さらには「神(しん)」と呼ばれる生命力の輝きを詳細に観察します

顔面診:五色と臓腑の相関

特に顔色は、気血(きけつ)の充溢度や運行状態を直接的に反映する重要な指標です 。東洋医学では、健康時の色を「常色(じょうしょく)」、病的な変色を「病色(びょうしょく)」と区別し、後者を五行色体表に基づき五色(青・赤・黄・白・黒)に分類して臓腑の異常を同定します

  • 白色: 気・血の不足、あるいはその運行の停滞を示唆します 。
  • 青色: 寒邪の侵入による気血の凝滞、あるいは激しい痛みを表します 。
  • 各部位の相関: 顔面の各部位は特定の臓腑と密接に関連しており、局所的な変化から内臓の変調を読み取ることが可能です 。

舌診:臓腑の鏡

望診の中でも特に独立した重要性を持つのが「舌診」です。舌は心(しん)の別竅(べっきょう)であり、脾胃(ひい)の外候とされるため、内部の寒熱や気血の過不足が顕著に現れます

  • 舌体: 舌自体の色や形、動きを観察します。これにより、生体の基本的な物質的基盤である気血の充足状態や、病因の性質を判断します 。
  • 舌苔: 舌の表面に付着する苔の状態(厚薄、潤燥、色)を観察します。これは主に病邪の深浅や、胃気の盛衰を反映します 。

2. 聞診:音響と芳香による病態把握

聞診は、患者が発する「音」と「匂い」を通じて、生理機能の失調を感知する診断法です

音声と言語の解析

声の強弱や呼吸の質は、宗気(そうき)や肺・腎の機能状態を如実に物語ります

  • 喘(ぜん)と哮(こう): 呼吸困難を伴う状態を「喘」と呼び、その際に喉の奥で痰鳴音が鳴るものを「哮」と区別して、病態の重篤度を評価します
  • 吃逆(しゃっくり)と噫気(げっぷ): 胃の気の逆上を示す症状ですが、吃逆の音が低く弱ければ「気虚(エネルギー不足)」、高く響けば「内熱」と判断するなど、音の性質から原因を特定します
  • 太息(ためいき): 精神的ストレスによる「気滞(気の滞り)」の典型的な徴候として捉えられます

嗅覚による排泄物等の評価

口臭や体臭、あるいは痰、大小便、おりものといった排泄物の匂いを確認することも、寒熱の鑑別に不可欠です

  • 悪臭の強度: 一般に、強い悪臭や焦げ臭い匂いは「熱証」を、生臭さや無臭に近い状態は「寒証」を指し示します

3. 総括:五感情報の統合による「証」の構築

このように、望診と聞診によって収集される情報は、単なる表面的な症状の羅列ではありません。それらは「統一体観」に基づき、内部の臓腑機能のバランスを投影した「生体からのシグナル」です。

診断学の要諦は、これらの断片的な感覚情報を、東洋医学の理論体系に照らし合わせて整理し、最終的に「証(現在の身体の全体評価)」へと昇華させる論理的思考にあります 。視覚で捉えた顔色と、聴覚で捉えた呼吸音、さらには問診や切診のデータを相互補完させることで、初めて誤りのない治療方針(論治)を立てることができるのです。


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