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10 東洋医学で紐解く血の不調

血病 血の変調によって引き起こされる病気を血病といいます。

血の不足による栄養不足を血虚といい、血の流れの異常には血熱血寒血瘀があります 。

血の不足による「血虚」

血虚は、血が不足している状態を指します 。全身に栄養を供給する血が足りなくなると、体の各所で栄養不足による症状が現れます 。食事が不十分であったり、偏食があったり、脾(ひ)や胃の消化・吸収機能が不十分な場合に、血虚に至ると考えられています 。

血虚の主な症状は以下の通りです。

  • 顔色から赤みが失われ、蒼白になったり、つやのない黄色っぽい顔色(萎黄)になったりすることが多いです
  • 舌や唇の赤みが薄くなります
  • めまいが起こりやすくなります
  • 血が少ないため、脈が細くなります
  • 心臓の血が不足すると、心身ともに疲労して力がでない、心臓が不規則に拍動する、健忘や不眠などの症状が現れると考えられます
  • 肝臓の血が不足すると、爪の色が淡くなったり、硬くなったり、変形したりするほか、手足の屈伸がしにくい、目が乾いて視力が低下するといった症状が現れます
  • 女性では、月経が遅れがちになり、出血量が少なく、色が薄くなるなどの月経困難症が多く見られます

血の異常な状態:「血熱」「血寒」「血瘀」

血熱とは、体内にこもった熱が血に移り、血が熱を帯びた状態です 。血行が異常に速くなり、細い血管が破れることで、体の各所から出血しやすくなると考えられています 。具体的には、膀胱の血管が破れて血尿が出たり、胃で吐血、肺で喀血、大腸で下血、鼻で鼻血などが見られます

血熱とは逆に、血が冷やされた状態を血寒といいます 。体内に冷えがたまり、血まで冷えてしまった状態です 。暖房をしても温まらない、特に手足が冷えるといった症状が現れます

血熱血寒の状態が続くと、血の流れが悪くなり、一箇所で停滞します 。これを血滞といい、血管中で停滞した汚れた血を瘀血と呼びます 。瘀血によって引き起こされる病気が血瘀です 。

血瘀の主な症状は以下の通りです。

  • 刺すような鋭い痛み(刺痛)を感じます 。この痛みは、気滞でみられる痛みと異なり、同じ場所が一定の強さで痛みます 。
  • 痛む場所を押すと、不快な感覚になる「拒按(きょあん)」という反応が特徴です 。
  • 腫れ物(腫塊)ができることもあります 。
  • 唇や舌の色が青紫色や黒ずんだ色になり、どす黒い色の血が出血しやすくなります 。
  • 脈に引っ掛かりがあり、血虚の脈とは異なり力があります 。

東洋医学において、人の体は(生命エネルギー)と(体の栄養素)から成り立っています。この両者は密接な関係にあり、どちらか一方がなければ正常に機能できません。

  • 気は血を動かす: 気には血を体中に行き渡らせる働きがあります。気が不足すると、血の流れが悪くなります。
  • 血は気の源: 血は気に栄養を与え、気がきちんと機能するための土台となります。出血が多いと気も失われてしまうのはこのためです。

健康な状態とは、この気(陽)と血(陰)のバランスが保たれていることを指します。このバランスが崩れると、体に不調が生じると考えられています。

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