按診腹部や手足などを、触る、なでる、押すなどして、厚さ冷たさ、硬さ柔らかさ、痛みや晴れの有無から、体の状態を調べる。
日本では腹診が重要とされる患者の腹部や手足、あるいは痛む場所などを手で触ったり、なでたり、押したりして、からだの状態を調べる方法を按診という。日本では、按診のなかでも、腹部の状態をみる腹診が重視され、発達している。腹診は、慢性の病気の診断や、全身状態を判断するのに向いている。医師は、患者をあおむけに寝かせ、足(膝)をのばした状態で腹部に触れて診察する。まず、腹部の形状や皮膚、太り具合などを目で観察する。腹の中の音を聞くこともある。次に、軽く押しながら、腹部全体の筋肉の厚さや薄さ、弾力の強弱、筋肉の緊張状態やつかえた感じ、押してみて痛みを感じるか、腹を軽くたたいたときにどんな音がするかなど、細かく診断していく。診断するには、腹部をいくつかの部位に分ける。心下、胸脇、小腹、少腹、脇下、踏上、賠下がある。
腹診でみられるさまざまな症状腹部がふくらんでいることを腹満という。かたくて、押すと痛みがある場合は実証で、血や津液が停滞していると考えられる。やわらかくて張りがなく、ふくらんでいて、押しても痛みはなく、むしろ心地よく感じるときは虚証である。両側の肋骨の下からみぞおちにかけて、張った感じやつかえた感じがあり、押すと抵抗や痛みがあるものを、胸脇苦満という。ストレスを感じている人、肝臓や胆道に異常がある人にみられる。みぞおちのあたりを軽くたたくと、胃の中でポチャポチャと水の音がするのを胃内停水という。牌の異常で水分代謝が悪くなり、胃の中に水がたまっていることが多い。胃下垂の人などにみられる。みぞおち部分につかえた感じがあり、押すと痛みや抵抗があるものを心下落硬という。消化器の病気でよくみられる。小腹硬満は、下腹部、とくにへその下部がかたくふくれて、押すと痛みや抵抗がある。血が停滞している疹血の症状で、女性の月経異常や肝臓の病気にみられる。左下腹部を押すと強い痛みを感じる少腹急結も、婦人科系の疹血の症状である。小腹不仁は、下腹部の筋肉が弱く、押すと抵抗がなくへこむ。足腰や下半身が弱い人、高齢者によくみられ、腎虚の症状である。腹部大動脈の拍動を触れる場合もある。触れる場所によって、みぞおちのあたりを心下悸、へその上部を臍上悸、下部を臍下悸という。心の血をめぐらせる機能に異常がでていると考えられる。
豆知識①胃に飲食物が残っていると、腹診で正しい判断ができないために、飲食は受診の1時間ほど前にすませておくようにする。また、診察前にトイレをすませておく。
腹診
足を伸ばした状態で腹部に触れたり、軽く押したり、軽く叩いたりして、筋肉の張り具合や、痛みがあるか、音がするか、などを調べる。
■胸脇苦満
肋骨の下からみぞおちに張り感があり、押すと痛い。肝臓や胆道の病気、ストレスを感じている人に多い。
■胃内停水
みぞおち付近をたたくと、胃の中でポチャポチャと水音がする。水分代謝が悪く、胃に水がたまっている
■心下痞硬
みぞおちのあたりがつかえた感じで、押すと痛みや不快感がある。消化器系の病気に多い。
■少腹急結
左の下腹部を押すと強い痛み。広血(血の停滞)がある婦人科系の病気でみられる。
■小腹不仁
下腹部の筋肉が弱く、押すとやわらかくへこむ。腎の精が不足した腎虚でみられる。
■拍動を触れる
心下悸・・・みぞおちのあたりで動悸を感じられる。
臍上悸・・・へその上で拍動を感じる。
臍下悸・・・へその下で拍動を感じる。
豆知識②
西洋医学の腹診は両膝を曲げて行うことが多い。膝を曲げると腹部がゆるむので、腫れ物などに触れやすくなる。東洋医学では腹部を緊張させた状態で異常な張りなどを調べる。
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