長崎市で本格的な東洋医学の鍼灸治療を受けられる鍼灸整骨院|初めてでも安心

長崎市で本格的な東洋医学の鍼灸治療を受けられる鍼灸整骨院として定評があります。

WEB予約
LINE予約
診療案内
アクセス
コラム
おしらせ
東洋医学について

18 脾の変調とその深層

東洋医学の脾は、西洋医学の脾臓とは異なり、消化・吸収、栄養の運搬、体液の管理、内臓の位置保持、そして血液の管理といった、生命維持に不可欠な複数の機能を統括する重要な臓腑とされています。この脾の機能が失調した際に生じる、多岐にわたる症状とメカニズムについて解説いたします。


1. 運化機能の失調:消化・吸収・運搬の異常

脾の最も中心的な機能は「運化」であり、飲食物を消化・吸収し、得られた栄養分(水穀の精微)を全身へ輸送する働きを指します

消化器系の症状

脾の変調により運化機能が低下すると、食欲不振腹部の膨満感腹痛、そして下痢などの消化吸収の異常が生じます 。この結果、食事量が減少し、吸収も不十分になるため、全身の気・血・津液・精といった生命活動の基本物質を十分に生成できなくなり、身体の様々な部位に不調が現れます 。

湿(しつ)と痰(たん)の生成

運化機能の低下は、身体を潤す大切な水分である津液の循環にも影響を与えます 。津液が体内で滞留すると、湿という不要な水分(病理的産物)に変化します 。この湿がさらに集まり粘り気を増すと、となります 。

東洋医学では、このプロセスを「脾は生痰の源、肺は貯痰の器」という言葉で表現します 。つまり、痰は脾の運化機能の失調によって生み出され、それが肺へ移動して貯まるため、せきぜんそくといった呼吸器系の異常(気道に絡みやすくなる)として現れるのです


2. 昇清機能の失調:内臓下垂と慢性の下痢

昇清は、脾が持つ「持ちあげる機能」のことで、これにより内臓が適切な位置に保持され安定しています 。

脾の変調によってこの昇清機能がうまく働かなくなると、内臓が下がりやすくなり、胃下垂脱肛、そして慢性の下痢などが引き起こされやすくなります

また、昇清機能の低下は、清気を上部の脳へ送る働きにも影響を及ぼし、思考力の低下考え続ける(くよくよする)傾向を招くことがあります 。さらに、食後に消化・吸収に多くの気を集中させてしまう結果、脳へ送る気が不足し、強い眠気を感じることも脾の変調の典型的な症状の一つです 。


3. 統血機能の失調:血液管理の異常

統血とは、血が血脈から漏れ出さないように管理する機能です 。

この機能が低下すると、血が漏出する状態(血脈が破れているのではなく、しみ出ている状態)となり、血便血尿不正性器出血などの症状が現れるとされます


4. 脾と関連する部位・感情の変調

肌肉(きにく)と口

脾は、肌肉(筋肉の肉の部分)と口に強く関連するとされています

  • 筋肉の症状: 脾の状態が悪化すると、肌肉は痩せて色つやが悪くなり、力もなくなります 。急に痩せて筋肉が落ちた場合、脾の変調が疑われます 。
  • 口の症状: 口の症状としては、味覚異常(味が分からなくなる)が現れることがあります 。また、脾はよだれの量にも影響を与えます 。
    • よだれが少なすぎると、口内が乾燥し、飲み込みや消化がうまくいかなくなります 。
    • よだれが多すぎると、口からだらだらと流れ出たり、咀嚼せずとも飲み込みやすくなるため早食いの傾向が見られることがあります 。

感情:思(し)

東洋医学では、五臓と感情が結びついていると考えられており、は「思(思うこと、考え事)」と強く関係しています 。考えすぎ(過度な思慮)は脾を傷つけるとされ、脾の変調の原因となることがあります 。同時に、前述の通り、脾の変調(昇清機能の弱まり)によって思考がまとまらず、くよくよと考え続けてしまう悪循環も生じます 。

後天の本:脾は、飲食物からエネルギーを取り出す消化・吸収作用を行うため、生まれてからのエネルギーをつくる場所として「後天の本」と呼ばれます 。

胃との関係: 脾と胃は、表裏一体(昇降の関係)で連携して働きます 。胃は分解したものを小腸へ降ろし、脾は水穀の精微(栄養)を肺へ上げます 。性質として、胃は陽で湿り気を好み、脾は陰で乾燥を好むという、対照的な性質をもちながら、この相互関係が消化吸収に不可欠な役割を果たしているのです 。


このように、東洋医学における脾の変調は、単なる消化器系の不調に留まらず、体液管理、出血傾向、筋力・体型、精神活動、さらには呼吸器系の問題至るまで、全身の広範なシステムに影響を及ぼす非常に重要な病態と考えられています。この多角的な視点こそが、東洋医学の診断と治療の根幹を成していると言えるでしょう。

関連記事

PAGE TOP